そこは憧れの場所でもあり、何となく近寄りがたい大人の居場所という雰囲気でもあった。那覇市の国際通りに面するビルの地下にあった小劇場「沖縄ジァンジァン」

 ▼亡くなった放送タレントの永六輔さん(享年83)もトークショーでたびたび出演した。復帰前から沖縄を訪れ、ラジオ番組や講演などでファンを魅了。自ら「沖縄宣伝部長」を名乗るほど、沖縄と縁を深めた

 ▼ジァンジァンの出演でホテル暮らしも多かったという永さんは沖縄観光のあり方にも言及。著書『沖縄(ウチナー)からは日本(ヤマト)が見える』で、若者だけではなく、文化を見るゆとりがある「中高年」を対象にした誘客も提案した

 ▼著書が出版されたのは沖縄サミット開催の年。サミットを「沖縄で開いてやるという政府の思い上がった態度があった」と批判。前日の米軍嘉手納基地包囲行動の報道が本土に十分に伝わらなかったことも指摘した

 ▼沖縄ファンが本土で発する情報が沖縄にバックされない状況には「ヤマトでウチナーがどう評価され、話題になり、マスコミでどう扱われているか、沖縄に向けて広報したほうがいい」とも

 ▼内外から沖縄を見つめた永さん。観光にしても、基地問題にしても、頻繁に訪れた永さんならではの視点で切り取ってきた。沖縄が信じる道を堂々と上を向いて歩む姿を見守ってほしい。(赤嶺由紀子)