「多数派は常に間違っている。自分が多数派にまわったと知ったら、それは必ず行いを改めるか、一息入れて反省する時だ」。米国の小説家、マーク・トウェインが残した警句である

 ▼組織論にも通じる話で、全員が賛成する事業や方針は危うい。異論や少数意見にこそ耳を傾けるべきで、多数派には謙虚さが求められるとの戒めなのだろう

 ▼世間は広いもので、「多数派は常に正しい」と先の警句と逆を行く方々もいる。安定した内閣支持率を背景に、野党の質問にまともに取り合わない安倍晋三首相、失言を繰り返す閣僚、「数こそ力」と言わんばかりの国会運営をする与党を見て思う

 ▼不思議なのは、「安倍1強」の政治状況下で、多数派の自民党から異論や少数意見が出てこないことである。トップの顔色をうかがい、沈黙を貫く方が得だと思っているのだろうか

 ▼与党が採決を急ぐ「共謀罪」法案の審議でも多数派の慢心がちらつく。野党が厳しく指摘する捜査当局の判断次第で取り締まりの範囲が広がる危険や懸念も、権力に近いわれらには関係なしと勘違いしてはいまいか

 ▼少数意見に真摯(しんし)に耳を傾け、どれだけ取り入れていけるかが民主主義の成熟度を測るバロメーターである。「数の力」に酔いしれるトップと物言わぬ取り巻きの方々に、冒頭の警句を贈りたい。(稲嶺幸弘)