1970年2月16日の衆院沖縄・北方特別委員会。総理府総務長官に就いたばかりの山中貞則氏はこう所信を述べた。「沖縄の問題は私たちの良心のうずきとして受け止め、誠意と償いの気持ちで全力を尽くす」

▼沖縄振興を巡る閣僚答弁で「償い」が使われたのは、この時が初めて。「ミスター沖縄」と呼ばれ、県民の苦難の歴史を知る山中氏の言葉は、国の基本理念となる

▼半世紀近くたち、理念は「償い」から「日本経済再生のけん引役としての国家戦略」に変わった。原点を忘れていると捉えるべきか、それとも過去への贖罪(しょくざい)意識から未来志向になったとみるべきなのか

▼菅義偉官房長官は本紙インタビューで、本土復帰50年を迎える2022年度以降も高率補助や優遇税制を維持する考えを語った

▼「復帰に伴う特別措置は永遠に続くものじゃない」。旧知の内閣府幹部はこう話し、付け加えた。「終わったとしても、むしろ喜ぶべきかもしれない。沖縄が自立したということだから」

▼ふと疑問が湧く。自立とは何か。自主財源だけで予算を賄うという意味なら、他県のほとんども自立していない。ならば、国との予算折衝で、過度に政治力に頼らない交渉力を身に付けるということか。特別措置がなくても成り立つ沖縄振興とは。制度がある今こそ、足元をみつめたい。(西江昭吾)