外国人留学生の不法就労問題を受け、4月に沖縄県内の日本語学校に留学を希望するネパール人の「在留資格認定書」の交付率が過去最低水準の3割となったことで、日本語学校で働く教員の雇用に影響が出ている。学校側にとっては、一時9割に上った高水準を大きく割り込む死活問題。前年比で入学者が半減した学校もあり、経営難を理由に解雇される教員も出ている。現役教員には「明日はわが身だ」との不安が広がる。(社会部・篠原知恵)

本紙の「検証外国人留学生」報道のスクラップをめくる元日本語学校教員の男性。「志のある教員の芽をつぶさないで」と訴える=4月20日、本島内

■授業崩壊

 「交付率が3割に下がったので、4月から契約更新できない」。県内日本語学校に務めていた20代男性が、経営者から事実上の「解雇」を宣告されたのは2月末。法務省入国管理局那覇支局が、各学校に4月分の交付率を伝えた直後だった。

 日本語能力検定試験に合格し、大学で日本語教育を専攻していた男性の月給は手取り13万円。労働条件通知書を受け取った記憶はなく、自身の雇用形態は把握していなかったという。

 「まるで『外国人管理人』だった」。学ぶ意欲のある学生は2割程度で、授業中も半数が居眠り。「半ば授業崩壊で、学びたい学生が学べない状況だった」。嫌気が差し、自ら学校を去った同僚もいた。アルバイトで疲れ切った学生に教べんを執るむなしさが募った。

 学生のビザ更新申請書類の提出前には、学業の傍ら働かざるを得ない理由など数十パターンの文案を考え、学生に振り分けた。日本語の読み書きができず、申請書や文案の意味を理解していない学生に、丸1日かけて書き写させた。「教員のやる仕事じゃないですよね。良心が痛んだ」

 男性は月給6万円のアルバイトで身を立てながら、教職復帰を目指す。国内で教員の経験を積み、将来は海外の日本語学校で働くためだ。しかし“3割の打撃”を引きずる日本語学校の門戸は狭く、難航している。

■学費頼み

 「人ごとじゃない」。本島南部の日本語学校に勤める30代女性は明かす。勤務先は過半数が非正規。一方で正規になれば学費回収や学生寮見回りまで業務は幅広くなり「志が高い人ほど、現実とのギャップに落胆して長続きしない」。半年に1人が辞めていく。「夢か時間かお金かがなければできない仕事。自民党の提言が実現して文部科学省が関与すれば、経営ありきでなく教育重視の学校現場になるかも」と期待する。

 ある経営者は「日本語学校に対する国の補助金はなく、学費頼みで運営せざるを得ない。入管の審査厳格化は経営を直撃し、教員にも涙をのんでもらわざるを得ない」と話す。政府の掲げる「留学生30万人計画」を引き合いに「このままでは屋台骨が揺らぐ一方だ」と嘆き、補助金制度の創設を訴えた。