2017年(平成29年) 11月18日

沖縄タイムス+プラス ニュース

具志堅用高さん、涙の抱擁 ジム開設22年で夢実る

 「チャンピオンになるぞ」。試合開始のゴングが鳴る直前の青コーナー、会長の具志堅用高さん(61)は一言だけ声を掛け、比嘉大吾選手(21)をリングに送り出した。6回2分58秒、王者となってコーナーに戻ってきたまな弟子を「ありがとう」と言って抱き締めた。白井・具志堅スポーツジム開設から22年、初めての正規の世界王者誕生。歓喜に沸くリング上で、具志堅さんは輪から少し外れて目頭を押さえた。「今、島(沖縄)が揺れているはずね」。感無量の表情で故郷に思いをはせた。(社会部・磯野直)

新チャンピオンになった比嘉大吾(右)を涙で迎える具志堅用高会長=20日、有明コロシアム

「沖縄が揺れているはずね」

 現役時代、当時史上最速の9戦目で世界王者となり、13回連続防衛の金字塔を打ち立てた。しかし1995年、教える側に回ると壁にぶつかった。「自分がやるのと育てるのでは大違い。本当に難しい」。本部町出身の江藤光喜選手が2015年、世界奪取に失敗した後、「ジムを畳むことまで考えた」という。

 だからこそ今回、比嘉選手に全てを懸けた。それゆえ、計量に失敗した前王者が許せなかった。不公平な条件をのんで挑んだ一戦。1回の前王者の軽快な動き、重いパンチを見て「まともに一発もらったら負ける」と危機感を抱いた。

 しかし、まな弟子は破壊力のあるパンチで具志堅さんの不安を吹き飛ばした。前王者から計6回のダウンを奪い、文句なしの快勝で世界のベルトを巻いた。「大吾が夢を実現してくれた。本当にいいボクサー。スポーツの限界を超えた練習を毎日しているから、もっともっと強くなる」とたたえる。

 沖縄にはせる思いは人一倍だ。ことあるごとに「世界王者を沖縄に連れてくる」と語っていた具志堅さん。「きっと今、感動で島が揺れているはず。頑張れば世界が取れるという勇気を、沖縄の若い子に感じてほしいね」と、最後は声が弾んだ。

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磯野 直
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