自分の遺体を医学教育や研究に役立ててほしいと、生前から遺体の無償提供を約束する「献体」の登録が増えている。琉球大学医学部が運営する「でいご会」は本年度から、遺体の保存設備が限界に達しつつあるとして、新規の献体登録を制限することを決めた。20日にあった会員総会で会則を変更した。今後の役員会で年齢制限や年間の受け入れ数の設定などを検討し、会員数の伸びを抑制していく。(学芸部・座安あきの)

琉大医学部の「献体」に協力するでいご会の会員であいさつする砂川惠伸会長=琉球大学内

 献体希望者が増える背景には、医学研究への貢献に理解が広まった一方で、老後の身寄りのない人や、家族との関係が希薄な人らが遺骨を納骨堂に納めてもらうことを期待して入会を申し込むケースが増えたことがある。

 ■理解を呼び掛け

 1979年に会が発足して以来、これまでに650人の献体が解剖体として活用された。今年3月末現在、2053人が登録。2015、16年度はそれぞれ145人前後の申し込みを受け付けた。発足当初は一般の理解が低く、十分な会員を確保できなかったが、家族のあり方の変化に伴って、介護を通した感情のもつれや関係性の希薄化などから献体を取り巻く状況も様変わりしたという。

 でいご会は本年度からの受け付け制限の前段として、15年度からは入会動機を確認する規定を設け、納骨堂への収蔵が主な目的の入会を受け付けていない。2年間で3件の入会を断った。献体制度のある全国の医科大学でも同様に受け付けの停止や、本人面談による目的確認を徹底するなどして、入会数抑制策を講じる動きが広がっている。

 同会の砂川惠伸会長は「献体は自らの遺体を解剖体として提供する人生最後の社会奉仕。お墓のあるなしや、身寄りのあるなしは献体の精神と関係はない」とし、本来の医学教育への貢献を目的とした協力に理解を呼び掛けた。

 ■後見人制検討も

 会員の高齢化に伴って新たな問題も浮上している。会員本人が認知症を患い、家族などの同意者と献体の意思の確認が取れなくなるケースだ。砂川会長はその対策として、「任意後見人制度を導入し、判断能力のあるうちに病後の支援をしてもらう人を決めることなどを検討していきたい」と述べた。

 会員歴約30年の男性(83)は「これまで自分のことばかり考えて生きてきたので最後の社会奉仕のために」と入会した動機を語る。納骨堂への遺骨の収蔵は希望せず、遺族が引き取る前提で申し込んだ。男性は「家族には折に触れ献体の意思を伝え、理解は得られている。だが自分の認知症の心配だけでなく、妻が認知症になった場合、私の死に際して、その場で同意が得られなくなるのではとの不安がある」と語った。