女子プロゴルファーの宮里藍さん(31)の涙を見たのは、2010年10月の日本女子オープンで、県出身の宮里美香さんがプロ初優勝を遂げたときだった。18番ホールの傍らで、美香さんのプレーを見守り続け、勝利が決まると互いに駆け寄って抱き合った

▼プロ転向後になかなか優勝する機会を得られなかった後輩の初栄冠に、「優勝して良かった。もらい泣きした」と目をうるませていた。米ツアーを共に闘う同志をたたえ、これまでの苦労を和らげるような優しさにあふれていた

▼藍さんも06年からの米ツアー参戦後、苦境と試練の連続だった。プロ入りで初めて棄権した時には、ツアーを密着取材したアナウンサーの安藤幸代さんに「心が千切(ちぎ)れそうでした」(『最高の涙 宮里藍との一四〇六日』)と吐露したこともあった

▼スランプを脱し、09年7月にエビアン・マスターズで米ツアーで初勝利。涙ぐむ藍さんの姿に、安藤さんは「4年分の思いを噛(か)みしめて溢(あふ)れたのは、言うまでもなく最高の涙」と記している

▼10年には5勝し、世界ランキングで一時トップにたった。米ツアー通算9勝だが、12年以降は優勝から遠ざかっていた

▼藍さんが今季限りで引退する。「早すぎる」と惜しむ声は強い。「意志あるところに道はある」が座右の銘だ。新しい道を開く決断を応援したい。(与那原良彦)