政府が新基地建設に向け名護市辺野古沿岸部を埋め立てる護岸工事に着手して25日で1カ月が過ぎた。

 キャンプ・シュワブのゲート前では連日、新基地建設に反対する市民の座り込みと、機動隊による強制排除が繰り返されている。

 共同通信が上空からヘリで確認したところ、海に投下された砕石の帯が、24日の時点で、波打ち際から沖に向かって約20メートルまで延びていたという。

 27日、シュワブのゲート前で開かれた県民集会(オール沖縄会議主催)。市民団体代表らは「現場に集まることが作業を遅らせることになる」と危機感を込めて呼び掛けた。

 県は工事差し止め訴訟や埋め立て承認の撤回などを検討している。だが、岩礁破砕の許可をめぐる政府の恣意(しい)的な法令解釈によって知事権限が封じ込められ、有効な対抗策を打ち出せないでいる。局面を打開するためには発想の転換が必要だ。

 ネラー米海兵隊総司令官は、北朝鮮の核・ミサイル開発の進展やグアムの環境問題を念頭に、在沖米海兵隊のグアム移転計画の見直しを検討していることを明らかにした。

 この動きを手をこまぬいて見ているのではなく、「辺野古見直し」につなげることが大切である。

 県は米軍基地の統合計画を決めた1996年12月の日米特別行動委員会(SACO)最終報告を検証してほしい。

 その結果を基に、政府に「SACO2」を立ち上げるよう要請するのである。

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 基地再編の最大の問題点は米軍の都合を優先した辺野古案を県民の意向を無視して強引に進めたことにある。

 当初、考えられていた「基地内移設」は実現せず、「地元の頭越しに進めない」という当初の姿勢も強硬論に変わり、閣議決定さえ一方的に反古(ほご)にされた。その結果、どういう事態が起きているか。

 環境影響評価(環境アセスメント)は、「公開」「参加」が基本原則であり、アセス結果に基づいて工事を進める場合、当事者間の「対話」が欠かせない。

 ところが、辺野古埋め立てをめぐる環境アセスは、日本環境アセス学会元会長の島津康男さんが「史上最悪」と評したように、あまりにも問題の多いアセスだった。

 国と県が対立している現在の対話なき状況は「県が反対しているから対立が生じている」というようなものではない。その理解は一面的だ。

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 国と県の対立は、実は、この事業に著しく無理があることを示しているのである。

 米軍専用施設の約70%が集中する沖縄に、県との協議を欠いたまま、一方的な法解釈の変更によって、埋め立てを強行し、新基地を建設することは、行政の公平・公正性からいっても、環境影響評価のあり方からしても、地方自治の面からも、看過できない重大な問題をはらんでいる。

 それだけでも埋め立て承認を撤回する理由になると思う。今こそ、SACO2を立ち上げ、「プランB」(代替案)を検討する時だ。