「エイッ」。沖縄県警本部の武道場に気迫あふれる声が響く。力強く拳を突き出し、沖縄伝統空手の鍛錬に励む幹部らの額には汗がにじんでいた。柔剣道のイメージが強い県警にも、空手が継承されている。県外から赴任してきた“キャリア幹部”も教士の指導を受け、熱い思いで技に磨きをかけている。(社会部・新垣卓也、嘉良謙太朗)

伊敷幸敏教士八段(右)の指導を受ける県警の池田克史本部長=24日、県警本部の武道場

松崎賀充教士八段(中央)と一緒に汗を流す県警の當山達也刑事部長(右)と新里一生活安全部長(左)=23日、県警本部の武道場(山城響撮影)

伊敷幸敏教士八段(右)の指導を受ける県警の池田克史本部長=24日、県警本部の武道場 松崎賀充教士八段(中央)と一緒に汗を流す県警の當山達也刑事部長(右)と新里一生活安全部長(左)=23日、県警本部の武道場(山城響撮影)

 ■捜査1課長が指導

 業務を終え、道着に着替えた県警幹部やOBらが、県警本部地下1階の武道場内で力強い気合を響かせ、拳を突き出す。指導者は、殺人や強盗など凶悪犯罪の捜査を指揮する捜査1課の松崎賀充課長(55)だ。上地流の教士八段の腕前を持つ。

 稽古は毎週火曜日の夜。各部の部長や署長など幹部クラスのほか、県職員や弁護士らが参加し、汗を流す。松崎教士八段が創立した空手塾のメンバーだ。上地流の型の練習を基本に、2人一組で腹や脚を打ち合う実戦的な稽古「小手鍛え」も取り入れている。

 毎週土曜日は、うるま市石川の県警察学校で県警OBなど他のメンバーを教えている松崎教士八段。今後も「空手の伝承・発展に努めたい」と意気込む。

 本部の武道場で稽古に参加している新里一生活安全部長は「空手はいくつになってもできる。稽古を始めて健康維持につながった」と効果を実感。當山達也刑事部長は「ウチナーンチュとして空手伝承のバトンをつなぐため、これからも頑張りたい」と話した。

 ■県警本部長も技磨く

 2004年から県警幹部らを指導している伊敷幸敏教士八段(67)=剛柔流国際空手古武道連盟副会長=は「自分の身を守るという空手の精神を学び、業務に役立ててほしい」と期待を寄せる。

 鍛錬は週2日。基礎から型や組手まで、限られた時間の中で伝統空手の要所を教えている。「みんな一生懸命、練習に励んでいる」と幹部らの姿勢を評価する。転勤の多い職場だが、「空手を通して沖縄文化を感じ、持ち帰ってほしい」と話した。

 本土から沖縄に赴任した歴代警察官と同様、現在の県警幹部も技に磨きをかける。池田克史本部長は昨年5月の着任直後から稽古に参加。ことし3月に開館した沖縄空手会館でも、他の県警幹部らと共に演武を披露した。池田本部長は「最初は型を覚えるだけで大変だった。今後は型のスピードとキレを磨きたい」と意欲を燃やす。

 「心身ともに健康増進効果がある」と話すのは、中島寛警務部長。「今は茶帯だが、初段目指して頑張りたい」と目を輝かせた。