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  • 「明和の大津波」以前に、先島諸島では約600年周期で巨大津波が発生か
  • 石垣島で年代の異なる地層から、サンゴや貝などの破片を発見した
  • 過去の津波襲来は確認されていたが、より高精度に発生年代を特定

 沖縄県の先島諸島で約1万2千人が犠牲になったとされる1771年の「明和の大津波」以前に、巨大津波が3回発生したことを示す痕跡が石垣島北部の地層から見つかっていたことが分かった。静岡大学などの研究チームがこのほど調査結果をまとめた。石垣島への大津波襲来は明和含め約2千年前から計4回、約600年に1回の間隔で起きたと考えられ、研究者は「より精度の高い発生年代が確認できた」としている。

重機で掘削して表れた地層を調べる研究者ら=2013年11月、石垣市伊原間(安藤雅孝客員教授提供)

白っぽい地層は、津波で海底から運ばれた貝やサンゴなどの破片を含む。黒っぽい層は、津波と津波の間に数百年かけ堆積したとみられる=2014年4月、石垣市伊原間(安藤雅孝客員教授提供)

重機で掘削して表れた地層を調べる研究者ら=2013年11月、石垣市伊原間(安藤雅孝客員教授提供) 白っぽい地層は、津波で海底から運ばれた貝やサンゴなどの破片を含む。黒っぽい層は、津波と津波の間に数百年かけ堆積したとみられる=2014年4月、石垣市伊原間(安藤雅孝客員教授提供)

 調査は同大と同大防災総合センター、琉球大学などが2013~14年に石垣市伊原間で実施した。海抜10メートルほどの場所で、長さ約150メートル、深さ約2メートルの溝を掘って地層を調べた。

 明和以前で年代の異なる3カ所の地層で、遡上(そじょう)した津波が運んだとみられるサンゴや貝などの破片を含む石灰質の堆積物を確認。複数の地割れや、カキの殻が付着した直径2メートルほどの巨石も見つかった。

 静岡大の北村晃寿教授(古生物学)らが堆積物に残る貝の化石などを分析し、明和以前の3カ所はそれぞれ約800~600年前、約1500~1250年前、約2500~1500年前-の地層と特定した。

 明和以前の巨大津波襲来が複数回あったことは「津波石」の年代測定で確認されているが、北村教授は「津波石だけでは具体的にどこまで津波が遡上したか正確には分からない」と指摘。「堆積物の分析で遡上高の推定や、より精度の高い発生年代を確認することができた」と意義を語った。

 同センターの安藤雅孝客員教授(地震学)は「明和の地震の規模には諸説あるが、複数の地割れは強い揺れが起きたことを示す。中規模地震によるものとは考えにくい。巨大地震を繰り返すような発生域が石垣島の沖合にある可能性もある」と推測した。

 明和の大津波は1771(明和8)年4月の八重山地震で発生。石垣島では海抜30メートルほどまで津波が押し寄せ、八重山地域で9313人が犠牲になったとされる。先島全体の死者・行方不明者は約1万2千人とされている。