奮発して手に入れたステーキ肉。塩こしょうをまぶして一気に焼く。一口ほおばると幸福感に包まれ、ヒトに生まれた喜びをかみしめる▼そんなとき思う。いま目の前にある料理は、数多くの先駆者たちがいたからこそ存在しているのだと。とりわけ肉を火で焼くこと、いや、さかのぼって最初に火を使った者がいたこと▼いまに至る文明の利器は、いずれも元は誰かが発明(発案)したもの。そう考えると発明の尊さを実感する。身近なところでも、素晴らしい技術や工夫が生まれ、実用化されている▼県内の発明家たちを後押してきた「日曜発明教室」が6日を最後に終了した。弁理士の福島康文さんが主宰して1994年にスタート。毎月1回、16年近く続いた教室の最終は190回を数えていた▼発明事例紹介や特許など知的財産権の取得についての相談・助言を通し、会員らのモチベーションを高めた。塩の「ぬちまーす」や「もろみ酢の濃縮粉末技術」などが生まれる上でも重要な役割を果たした▼ベンチャー企業の育成にはインキュベーター(ゆりかご)が必要とされる。教室は、まさにその役割をいち早く実践してきた。沖縄総合事務局の関係者は、教室の後継となる場の創設を検討したいと話したという。発明の火を絶やすことの損失は計り知れない。(久高将己)
(更新日:2009年12月08日 16:43)
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