フリースクールや夜間中学校を運営する珊瑚舎スコーレ(那覇市樋川、星野人史代表)は、小学4~6年生対象の初等部と、中学生や中卒者対象の中等部で、ウチナーグチの授業を設けている。独立した言語として日本語や英語と同様に重要視し、週2こま設定。子どもたちにとって身近な言葉になるよう、遊びや三線を取り入れながら教えている。(社会部・嘉数よしの)

「モアナと伝説の海」の主題歌をウチナーグチに訳し、指導する与那覇仁さん(右)=4月、那覇市樋川・珊瑚舎スコーレ

初等部では学んだ黄金言葉にイラストを合わせた作品を作成する

「モアナと伝説の海」の主題歌をウチナーグチに訳し、指導する与那覇仁さん(右)=4月、那覇市樋川・珊瑚舎スコーレ
初等部では学んだ黄金言葉にイラストを合わせた作品を作成する

 4月下旬、中等部の教室に三線の音色とともに、ウチナーグチの歌声が響いた。民謡などおなじみの歌詞ではなく、ヒット中のディズニーアニメ映画「モアナと伝説の海」主題歌のウチナーグチバージョン。講師の与那覇仁さん(30)が日本語の歌詞を曲に合わせて訳し、生徒に伝える。別の表現方法も解説しながら指導は進み、生徒はそれをメモ。どの顔も真剣だ。

 男子生徒(13)は「ウチナーグチは好きな授業の一つ」とにっこり。県出身だがこれまで学んだ経験はなく、三線とともに「できるようになると楽しい」と感じている。学校近くの天ぷら店でウチナーグチで買い物をし、やりとりできたのがうれしかった体験。「もっと勉強したい」と話す。

 授業が始まったのは、初等部が昨年4月、中等部はこの4月から。与那覇さんは「ウチナーグチ学習を通して他の言語や文化にも興味を持ってほしい。そのきっかけをつくりたい」と説明する。

 与那覇さん自身、オーストラリアに留学したことが地元を見つめ直す契機になった。先住民「アボリジニ」の言語とアイデンティティーとしての捉え方に胸打たれ、23歳の時にウチナーグチの勉強をスタート。那覇市主催の講座などで基礎力を身に付け、毎週エイサーを教えに行く高齢者施設でお年寄りと会話し、表現力を磨いている。

 子どもたちが親しむ遊びを通して教えるのが与那覇さん流だ。例えば、「だるまさんが転んだ」を「キジムナーがキッチャキサン」に言い換えて楽しんだり、「ニーブイカーブイ(眠たい)」からイメージする4こま漫画を書いてもらったり。「みんな興味があるわけではないので、いかに関心を持ってもらえるか」に腐心する。

 世界地図を示し、ウチナーグチを一言語として教えることも欠かさない。「最近子どもたちは『方言』ではなく、ウチナーグチと言うようになってきた。教え合う姿も見られるようになりうれしい」と目を細める。