明治神宮野球大会で頂点に立った沖縄尚学の選手たちを取材し、あどけない表情やまだ細い体のどこに、8点差をひっくり返すような粘り強さが秘められているのかと感心させられた
▼超高校級の好投手や強打者がいるわけではない。仲間を信じ、全員野球に徹した。決勝で敗戦濃厚の劣勢をはね返したのは「最後まであきらめない」という強い思いがあった
▼七回から始まった反撃は圧巻。エースの山城大智選手の3点本塁打で口火を切り、八回は本塁打を含む長短打で逆転。スタンドで見て、鳥肌が立った
▼「高校野球は試合終了まで何が起きるか分からない」。赤嶺謙主将は勝負の怖さを痛感させられたという。「あきらめたり、気を抜いたら負ける」と言い聞かせるように話した
▼県勢初制覇は多くの人を勇気づけた。沖尚野球部OBで昨年夏の甲子園県予選決勝を投げた山田義貴投手(19)(亜細亜大1年)は「後輩の活躍は励みになる。自分も早く神宮の大舞台で活躍したい」と奮起する。同校卒業生の仲吉陽祐さん(21)(早稲田大3年)は「誇りだ。力をもらった」と語った
▼監督、選手は「一から鍛え直し、力をつける」と快挙に浮かれることなく、次の目標に走りだした。春の選抜大会で、一回りも二回りも大きくなった沖尚ナインの活躍を期待したい。(与那原良彦)