やりたい放題、と映るのも当然だろう。米軍がまたも嘉手納基地でパラシュート降下訓練を14日に実施すると嘉手納町などに伝えた。ことし4月、5月に続いて3度目となる

▼住宅が密集する嘉手納基地周辺。嘉手納町をはじめ地元自治体が反発し抗議が相次ぐ中、強行が繰り返されている。住民の不安が払拭されないまま、米軍の都合がまかり通るのは納得いかない

▼そもそも日米両政府は、1996年の日米特別行動委員会(SACO)最終報告で、降下訓練は伊江島補助飛行場で行うと合意した。ただ、2007年には「例外的」な場合に限って嘉手納の使用を確認している。米軍の都合の理屈がこれだ

▼しかし、防衛省は今回この「例外」には当たらないとして、訓練の中止を求めている。強行されれば、地元の反発どころか、政府の体面にもかかわる。あいまいさが残る「例外」をいまこそ見直すべきだろう

▼基地の近くに住む70代の男性は言う。米軍の降下訓練のニュースを目にするたびに、かつて読谷村でパラシュート訓練によって小学5年生の女児の命が奪われた事故を連想してしまう、と

▼住民の生活を脅かし続ける日米合意とは何なのか。相次ぐ外来機の飛来や騒音被害など、基地負担は確実に増している。必要なのは、訓練を常態化させない日本政府の強い姿勢だ。(赤嶺由紀子)