日本と沖縄の文化の違いを語るとき、大きなテーマとなるのが宗教である。古くからの民俗宗教が大きな力を保ち、戦後の米軍支配の影響で人口比当たりのキリスト教徒は全国でもトップクラスだ。その一方で、影が薄い伝統的仏教を尻目に新興宗教が跋扈(ばっこ)している沖縄の現状は、本土とは相当の差異があるのではないだろうか。

沖縄社会とその宗教世界(榕樹書林・6480円)

 しかしこのような状況を学問的に捉え直し、変容する社会を分析した本は多くはない。

 本書では、沖縄の外部から乗り込んできた「外来宗教」が、いかにして沖縄社会の中に溶け込み、その存立基盤を拡大してきたのかを個々の宗派ごとに分析を加えている。

 ちなみに直接取り上げられている宗派は真宗大谷派真教寺、真宗光明団、立正佼成会沖縄教会、沖縄創価学会、霊波之光教会沖縄支部、沖縄バプテスト連盟、カトリック那覇教区の七宗派である。

 外来の宗教にとってノロやユタといった沖縄土着の宗教的観念とどうやって折り合いをつけるのかは大きな問題なのだが、本書では各宗派ごとに注意深く取り上げているほか、沖縄の中にある宗教的運動の一つとしてEM(有用微生物群)を巡るさまざまな動き、あるいは世界遺産の斎場御嶽にみられる観光化とスピリチュアルな動きにも目を向け、社会と宗教のあり方の実像を明らかにしようとする。

 結局の所、さまざまな外来宗派が沖縄の中に一定の基盤を作り定着に成功(?)できたのは、沖縄社会そのものの変容によって、これまでの様に古い民俗宗教を支え続けることができなくなり、そこに空白が生じているということなのだろう。そして空白は何かで埋められなければならないのである。

 漠然と語られてきた社会と宗教の変容の内実を体系的に提示した出色の本であり、琉球弧叢書(そうしょ)の中でも異彩を放っている本だと思っている。(武石和実・榕樹書林代表)