この快進撃には爽快感さえ覚える。いま日本中で最も注目されている中学3年生といえば、最年少プロ棋士の藤井聡太四段(14)だろう。公式戦の新記録となる29連勝を達成した

▼素人ながら、遠い昔に覚えた将棋を久しぶりに指してみたいと思わせるほど、その偉業にわくわくしてしまう。将棋ファン以外も虜(とりこ)にする魅力は何か

▼専門家や棋士らによると、その強さは終盤にあるという。王手を連続して王将を詰める「詰め将棋」を数多くこなしてきた。コンピューターソフトを利用した練習方法もその強さを後押し。若者らしくていい

▼将棋盤に向かう姿勢だけでは読み解けないが、その集中力には圧倒される。「僥倖(ぎょうこう)としか言いようがない」「望外な結果でうれしい」。対局を振り返るときの謙虚さと古風な言葉遣いが話題に上るが、それが逆に芯の強さと感じさせる

▼将棋界は昨年秋、コンピューターソフトの不正使用疑惑を巡って揺れた。新星の誕生でイメージ回復につながった面もあるだろう。そんな外野の評価や期待も大きいと思うが、藤井四段には気負わず突き進んでほしい

▼「もっと実力を高めて、タイトルを狙える棋士になりたい」。まっすぐ先を見据える中学生棋士はまぶしく、頼もしい。どんな世代にも元気を与えてくれる14歳の将来に心からエールを送りたい。(赤嶺由紀子)