
―基地と貧困、二つの問題に目を向けるようになったきっかけは。
「2002年、30歳の時、県内で司法書士登録した。当時は多重債務問題が全国的に深刻だった。世間では借りた方が悪いという自己責任論がまん延していたが、問題の本質は利息制限法と出資法で定める上限金利のグレーゾーンにあった。全国の法律家などで法律改正運動を行った結果、貸金業法が改正され、問題は一定の収束をみた」
「ただ、沖縄の貧困は依然として横たわったままだった。背景を考えていくと、基地問題に代表される『本土優先―沖縄劣後』の権力構造に突き当たった。それを何とか体系化し説明したいと考えていた」
―沖縄の歴史的過程が現在の問題につながっているという指摘は、これまでにもある。
「それでも基地と貧困の問題を一体的に説明する議論は少ない。一方でその原因を沖縄の文化や県民性に求め、『沖縄は地縁血縁社会であり、同調圧力や自尊心の低さが貧困問題の本質だ』という自己責任論が横行している。沖縄を取り巻く構造を改めて社会的排除理論から問い直す必要がある」
―社会的排除理論とは。
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