[新春 TOP INTERVIEW 2023]
-事業内容をお聞かせ下さい。
私どものアセットファイナンスは、投資家から集めた資金で不動産・動産を保有し、それを事業者に貸し出して賃料収入を得て、投資家に配当する仕組みです。一般的な不動産ファンドとは異なり、資産を譲渡する際に売却益は取らず、事業者が簿価で買い戻すことも可能です。事業者は安い賃料でリースでき、投資家はきちんと配当を得られる、双方にとってメリットがあります。不動産ファンドには「ハイリスク・ハイリターン」投資がありますが、アセットファイナンスは「ローリスク・ミドルリターン」を目指して運用しているのが特徴です。県内では2019年と21年に名護市の施設「みらい2号館」の空調機器などの設備更新の際に活用いただきました。自治体にとっては初年度に多額の予算を計上する必要がなく、支出の平準化を図れます。公共施設の整備に民間資金を導入する「PFI」の中でも、動産ファンドは「日本初」の試みでした。
-2022年を振り返って。
昨年3月に、シンバホールディングス様と業務提携をさせていただきました。約4千社の顧客を持つ同社のネットワークを活かし、県内の投資家や事業者(自治体や民間大企業)に営業活動をしております。沖縄を地場とする企業の後ろ盾があることで、我々の信用力も増し、好反応を得ております。
22年末時点で資産総額は約800億円、投資家からお預かりしている金額は約300億円ですが、この内沖縄が占める割合はまだ高くはありません。我々は、事業者がどういう形でリースされたいのか、そのご要望に沿った形で、金融商品を組成します。いわゆるオーダーメード型でリース条件を設定しますので、多くの事業者にご活用いただきたいと思います。また、県内の投資家の皆様は県内の案件に出資したいというご要望も多くございますので、こちらも併せて提案していきたいと思います。
-海外展開も見据えています。
国内では沖縄、金沢、東京の3カ所に拠点を構えていますが、今後は台湾などへ事業を展開し、「東アジアにおける『Only One』の投資銀行」を目指しております。コロナ前まで台湾の投資家と協議を進めていましたが、いったん中断を余儀なくされました。沖縄は東アジアの中心に位置する地の利があり、台湾は親日的で日本への投資意欲も高いと感じております。以前よりコロナの感染が落ち着きをみせているので、今年は早々に台湾を訪問して、協議を再開させたいと考えています。
-2023年の展望について。
昨年は「種まき」活動はできたと思いますので、今年は丁寧に「水をあげ」「花を咲かせる」1年にしていきたいと思っております。県内の自治体や民間大企業の皆様によるアセットファイナンスの活用機会を増やし、県内の投資家の数も着実に増やしていくことで、信頼を積み重ねていきたいと思います。
しばがき・ともあき 1975年生まれ、石川県出身。97年東京大学卒業後、三和銀行に入行。2006年独立系アセットマネジメント会社に移り、15年に社長就任。19年名護市にエステックアセットマネジメントを設立し、現職。
Personal Question
(1)新入社員に薦めたい本や映画(2)思い出に残る旅(3)沖縄の持つ魅力・好きなところ
Answer
(1)星野仙一著「迷ったときは、前に出ろ!」(2)昨日までの人生のすべて(3)県外がうらやむ特別な場所