[新春 TOP INTERVIEW 2023]

 -2022年を振り返って、いかがでしたか。

 新型コロナの影響で2019年以降は苦しい状況が続いていましたが、夏場から乗降客数が右肩上がりに伸びてきました。7~9月の平均乗降客数は4万2千人、10月は4万9千人、11月は5万1千人で推移しています。10月からはモノレールの沿線で全県的なイベントが増えている影響もあります。

 また、駅構内では地域と協力した物産販売イベント「ゆいレールマルシェ」を始めました。各地域との交流も深め、コロナからの復興に向けて駅から沖縄を盛り上げていきたい。

 -車両3両化計画の進捗状況はいかがですか。

 予定通り23年度中に運行を始める予定です。年度内に山口県から新たな車両が船で運ばれてきます。その車両をレールにのせて、運転士の習熟運転も始めていきます。車両が増えることでブレーキのかけ具合なども変わりますので、安全運行を第一に細かな調整に注意深く取り組んでいきます。

 3両化や観光客数が増えていることで予想される混雑をどう解決していくかが新たな課題となります。一番利用率の高い県庁前駅は改札通路を一つ増やし、混雑を解消、利便性の向上に努めます。その他の駅をどうするか、ホームの混雑をどうしていくか検討していかなければなりません。

 -今年の重点政策をお聞かせください。

 沖縄の2次交通の利便性を高めるため、モノ社から各施設や地域と連携した取り組みを仕掛けていきたいと考えています。今年は中北部地域とのバス連携企画を始めたいと考えています。那覇・南部地域のお客さまには最寄り駅から「てだこ浦西駅」までご利用いただき、そこからバスで目的地まで向かう企画を始めます。これらの取り組みは中北部の活性化にもつながると期待しています。

 -今年の目標は。        

 2~3月は乗降客数が5万人を超えると見込んでいます。年間を通した平均乗降客数が5万人を上回ると黒字を確保できます。黒字転換できるかできないかのはざまではありますが、明るい兆しは見えてきています。

 この右肩上がりの角度をどのように上げていくかというところに注力していきたいと考えています。駅構内を盛り上げるためにイベント企画はもちろんですが、これまで利用されていなかったコンコースの中の壁面広告の積極活用や、老朽化した施設の改修など細かなところも早め早めの対応で管理していきます。

 もちろんのことですが、安全・安心な運行や定時にお客さまを運ぶことを第一に考えています。今年は開業20周年。開業以来、昨年12月まで7050日間、無事故できているのは社員の皆さんが一生懸命に取り組んできてくれたおかげです。安全・安心な運行と右肩上がりの風に乗れるように気を引き締めていきます。

とけし・みちとし 1953年生まれ。那覇市出身。神戸大卒。75年に琉球銀行に入行し、総合企画部長、常務取締役などを歴任。2009年から17年までOCSの社長を務め、21年6月から現職。

Personal Question

(1)新入社員に薦めたい本や映画(2)思い出に残る旅(3)沖縄の持つ魅力・好きなところ

Answer

(1)興味ある分野の作品をまず試してほしい(2)北海道は沖縄とは正反対の気候が魅力的。京都は日本の文化や春の桜、秋の紅葉が楽しめた(3)悪戦苦闘しない人柄