[新春 TOP INTERVIEW 2023]

 -2022年の県経済をどう見ていますか。

 年初から新型コロナウイルスの影響が続き、8月には1日の感染者数が6千人を超える状況でした。ただ、弱毒化したこともあり、行動制限がない中で復調の兆しが見え始めました。コロナからの回復の途上にあった年ではないかと思います。一方、世界情勢による資源高騰や金融政策の金利差による円安もありました。県内でもインフレが進み実体経済に影響が出ています。

 -おきなわフィナンシャルグループ設立1年での成果は。

 「第2の創業」として持ち株会社体制へ移行し昨年10月で1年がたちました。非金融事業領域を拡大し、銀行を中心とするグループから、金融をコアとする総合サービスグループへの成長発展を目指しました。情報や課題の共有、計画や進展の報告など、グループ内の意思疎通や意思決定の迅速化が図られ統一した行動が取れています。

 -みらいおきなわの状況は。   

 21年6月に設立した、地域総合商社みらいおきなわは、非金融領域の一例です。地元企業の販路拡大やコンサルティングなどを展開しています。四国4行(百十四、阿波、伊予、四国)が提携して設立したShikokuブランドと連携し、県内企業の販路拡大に取り組みました。やるべきことが見えてきましたし、トップラインもより明確になってきました。海外への販路拡大の部分は今後の課題ですが、逆にコロナ禍でコンサルティングやビジネスマッチングなどは進みました。

 -社内の働き方改革や女性の活躍についても取り組みを進めています。 

 19年度から女性管理職を育成することを目的とした「カトレアカレッジ」を開催し、女性職員向けのキャリアアップ研修を年5回程度開いています。その結果、昨年は沖縄銀行初の女性部長が誕生しました。また、働き方改革の一環として、昨年4月から男性職員に対する有給の1カ月の育児休業取得の義務化を始め、7月にはグループ全体に広げました。これまでに沖縄銀行で26人、グループ会社3人が取得しました。また、フレックス制度の導入に向けた検討も進んでいます。「人的資本経営」の考え方を大事にしています。職員のスキルや能力、個性が資産であり、それを最大限発揮していくことで、経営基盤の強化や企業の新たな成長につなげていきます。

 -23年に注力する点や抱負を教えてください。        

 金融政策やロシア・ウクライナ情勢、台湾情勢など、不確実性が高まっています。ただ、インバウンドが増えれば、徐々にプラスに向かうと考えています。そうした中、私たちは自治体も含めたデジタルトランスフォーメーション(DX)の促進に注力していきます。事業者に対しては事業性評価で、本業や資金繰り支援、販路拡大など必要なソリューションを提供していきます。金融をコアとする総合サービスグループとして、県内経済のV字回復に向けて尽力したいと思います。

やましろ・まさやす 1959年生まれ、宜野湾市出身。琉球大学卒。82年沖縄銀行に入行。2011年に執行役員、18年6月から頭取。21年10月に設立したおきなわフィナンシャルグループの社長も兼務。

Personal Question

(1)新入社員に薦めたい本や映画(2)思い出に残る旅(3)沖縄の持つ魅力・好きなところ

Answer

(1)映画「島守の塔」。琉球の歴史や文化を知れる本を薦めたい (2)四国4県巡り。今年はイギリスにも行きたい (3)自然は何にも代えがたい財産で強みだ