[新春 TOP INTERVIEW 2023]
-2022年を振り返って。
沖縄本土復帰50年の節目に、弊社は60周年を迎えることができ心より感謝申し上げます。那覇市内で観光ホテルとして産声を上げ、延べ約2200万人に宿泊していただきました。加えて、披露宴など人生の大切な場面においても多くのお客さまに支持していただけたことは、弊社の最大の誉れです。地域や事業に携わる関係者、何より「迎恩の心」で温かくお客さまを迎え入れる社員にも深く感謝します。
事業基盤を見直し、本社機能を恩納村に集約したことでグループ会社間の連携が強化され、企業運営が効率化できました。客室稼働率は6割台に回復し、年末年始も8割台の予約をいただいております。一歩ずつではありますが、基盤強化の成果が出てきたことは、23年の好材料となりそうです。
-ブランド力強化を進めています。
コロナ禍にあっても県内は宿泊施設が次々開業し、競争が激化しています。他社がしていないことに挑戦して差別化を図っています。例えば、7月に始めた「ヘリコプター事業」は、那覇市-恩納村間を20分で移動できるだけでなく、空から沖縄の自然を堪能できる新たな観光コンテンツとして可能性を秘めています。敷地内の「かりゆしの森」やプライベートビーチ「やんばるの海」を活用したアクティビティの提案も、幅広い客層のニーズを捉えることができると考えています。
また、世界の観光産業のアカデミー賞といわれる「2022 WORLD LUXURY HOTEL AWARD」において弊社2ホテルが最高賞のグローバル賞を受賞しました。この世界的な賞の授賞式が今年秋ごろ沖縄開催の予定となっており準備を進めています。世界の名だたるホテル関係者が沖縄を訪れ、豊かな自然、独自の文化、歴史に触れることで、認知度の向上と、欧米を中心とした新たな客層の開拓につながると期待しています。
-23年の展望は。
今年のテーマは「光の未来へ」。まずは強みをしっかり伸ばすことが重要です。60年間培ってきたノウハウを基に、昨年同様、業務の効率化、ブランディングなど基盤の強化に努めます。
また60周年にあたり、日本航空(JAL)の管理職に2年間出向していただき人材育成に注力しました。その中で、故・稲盛和夫氏がJAL再建時にまとめた企業哲学を参考に「かりゆしフィロソフィ」を完成させました。経営理念とともに、すばらしい人生の送り方、企業のあり方を38の言葉に込めました。社員全員が価値観を共有し、時代の変化に素早く対応する心構えを説いています。自身の成長を実感することで幸せを感じ、その幸せをお客さまに還元していくことが選ばれる企業につながると確信しています。
沖縄観光は新たなステージに入ろうとしています。しかし、コロナ禍で多くの優秀な人材が業界を去りました。観光人材の育成を、観光業界だけでなく行政を含めた県全体で考え、取り組むことが未来を開くと考えています。
たましろ・ともじ 1964年、名護市出身。87年、ホテルなは(現かりゆし)入社。沖縄スパリゾート・エグゼスの総支配人などを経て、20年4月から現職。
Personal Question
(1)新入社員に薦めたい本や映画(2)思い出に残る旅(3)沖縄の持つ魅力・好きなところ
Answer
(1)若い人たちの価値観に触れたいので、逆にお薦めを教えてほしい (2)フランス・パリ (3)沖縄のすべてが大好き。自然や文化、歴史、人々の心の豊かさが誇り