[新春 TOP INTERVIEW 2023]

 -2022年を振り返って。

 コロナ禍の中、ようやく9月に会食の制限が解除となり、10月以降からマリエールオークパイン那覇での披露宴が軌道にのってきたこともあり、冠婚部門は前年対比で増収、紫雲閣9店舗の葬祭部門は増収増益となりました。

 逆境をはね返す力を意味するレジリエンスという言葉がありますが、昨年、首里城復興特別見学ツアーに参加し、「失ったこと」よりも「何ができるか」の観点で、沖縄県民のレジリエンスを強く感じました。ビジネスにおいても、コロナ禍前の水準に回復できるか、このレジリエンスの必要性が高まっています。私たちサンレーグループもいち早く復元しなくてはと考えております。

 弊社の施設を地域の皆さまのご縁をつなぐ拠点にしています。その一環としてマリエールオークパイン那覇ではハンドメイドマルシェ「マリシェ」を開催しました。

 紫雲閣は葬祭会館からコミュニティホールへと進化させて、「葬儀をする施設」から「葬儀もできる施設」を目指しています。昨年は「隣人あつまれフェスティバル」と銘打ったイベントを開催。また、次世代の心の育成を目的とする「冠婚葬祭子ども教室」は、儀式文化の大切さを伝えるためにも継続していきたいと思います。

 -結婚式補助金について。

 今年の2月まで、那覇市内で結婚式や披露宴などを開催した市民には上限20万円が補助される「なはウェディング支援事業補助金」が実施されています。コロナ禍で披露宴の延期、キャンセルをせざるを得ない中、当たり前に結婚式をできることがどれほど幸せなことか、プロである私たちも痛感し、結婚式は人や社会を温かい気持ちにさせてくれることを改めて感じました。

 -社会貢献活動にも積極的でした。

 通過儀礼を大切に考える弊社として、経済的理由で人生の節目を祝うことができない沖縄県内の児童養護施設や里親家庭で育つ子どもたちへ、十三祝い・成人式の晴れ着の提供と記念写真撮影を行いました。

 また、弊社の営業所や施設を展開するエリアでは地域見守り隊の活動を行い、紫雲閣9店舗は子ども110番の家に登録するなど、地域活動にも取り組んでいます。

 -23年の取り組みは。

 冠婚葬祭は、人と人のつながりの大切さを再認識し、絆を強める貴重な機会です。誰かを大切に思う気持ちを伝えあう場で、温かく心を込めてお手伝いすることにより、感謝があふれる社会を創ることができます。

 弊社では1986年より「気業宣言」という経営方針の中で、幸福で肉体的、精神的、社会的すべてにおいて満たされた状態を表す「ウェルビーイング」を目指してきました。紫雲閣が取り組む、ご遺族の悲嘆に寄り添うグリーフケアもここにつながるものです。

 私たちはこれからも冠婚葬祭を通じ、利他の心を大切に、心豊かな社会の実現に貢献してまいります。

さくま・やすひろ 1969年生まれ、福岡県出身。東京大学法学部卒。第一勧業銀行(現・みずほ銀行)を経て、96年にサンレー入社、2020年から代表取締役社長。

Personal Question

(1)新入社員に薦めたい本や映画(2)思い出に残る旅(3)沖縄の持つ魅力・好きなところ

Answer

(1)人類の歴史に思いをはせる「サピエンス全史」(2)妻と出会ったウィーンへの大学卒業旅行(3)人の温かさ、先祖・家族を大切にするところ