[新春 TOP INTERVIEW 2023]

 -2022年を振り返って。   

 22年上半期までは新型コロナが影響しましたが、10月に始まった政府の旅行需要喚起策「全国旅行支援」で個人旅行が増えました。直近の中間決算で県内事業の売上高は前年同期より約3割回復し、グループ全体でも中間純利益は3期ぶりに黒字転換できました。

 -観光客数が急激に回復し、業界では人手不足が問題になりました。  

 業界としては雇用調整助成金が出る間は運転手に休んでもらっていましたが、その間に辞めた人もおり、特に高齢者がそのまま引退してしまいました。

 当社グループは人手不足になることを予想して21年3月くらいから早めに募集をかけて約千二百人を採用しました。22年1月に改正道路交通法施行令が公布され、19歳でも大型バスなどの運転免許が取得可能になりました。若い人材の採用を増やしたため、現時点で100人くらいが運転手の講習を受けています。

 -タクシー業界は男性社会のイメージがあります。          

 全国で女性のタクシードライバーは全体の4・3%の約1万人ほどです。第一交通産業では営業所に女性の更衣室を作ったり、保育所を作ったりと、女性が働きやすい環境作りを進めていて、約10%は女性ドライバーです。5年以内には20%くらいの割合に増やしていきたいと考えています。

 -デジタルトランスフォーメーション(DX)への取り組みは。    

 配車アプリ「DiDi」や「Uber」など3社と提携しています。利用者によって使うアプリが違いますので、より多くの人の選択肢になるようにメニューを増やすことは重要だと考えています。沖縄では1番「Uber」が使われていて、その地域地域にフィットするアプリを強化するのも重要。意外と知られていませんが、第一交通産業が「DiDi」をタクシー業界で1番先に導入しました。

 -23年の抱負は。        

 コロナ禍で減少した売り上げを戻し、今期はグループ全体で黒字化したいですね。コロナ前の売り上げは約1061億円でしたが、コロナ禍で787億円まで下がりましたので、今期は950億円くらいに戻したいと考えています。

 2024年で沖縄に進出して20年となります。今年はプレ20周年の年として、組織や社内改革に取り組んでいきたい。例えば、路線バスは既存のものもあるが、新しく増やしていけないか検討しています。また、社内の透明性も高めていきたい。誰かが長期休暇で休んだり、病気になるなどアクシデントがある場合でも社内で助け合えるような仕組みを今作っています。

 SDGsについては、地域交通を支える事業者として貢献できていると思います。また、社内で保育所があるなど女性が働きやすい環境作りも整えています。第一交通産業の事業に合ったSDGsの取り組みは何か、既存の事業でどのくらい貢献できているかを再度検証していきたいと考えています。
たなか・りょういちろう 1959年生まれ、東京都出身。青山学院大卒。全国朝日放送(現テレビ朝日)を経て、94年に第一交通産業に入社、2001年から現職。

Personal Question

(1)新入社員に薦めたい本や映画(2)思い出に残る旅(3)沖縄の持つ魅力・好きなところ

Answer

(1)小池龍之介著「しない生活 煩悩を静める108のお稽古」(2)インド旅行。異文化に驚きつつ、この地なら何でも挑戦できる気がした(3)働き者の女性が多い。環境整備のため沖縄進出後すぐ、事務所に保育所を作った