[新春 TOP INTERVIEW 2023]
-2022年を振り返って。
民間では琉球銀行新本店、一銀通りのホテル建設など、公共では首里城正殿復元工事や沖縄自動車道幸地インターチェンジなどの事業を受注できました。決算は増収となり、全体として良い年でした。観光産業では観光客が戻ってきているので、運営するホテルアトールエメラルド宮古島の稼働率も上がっています。また、グループ内で代表者を交代するなど役員改選があり、経営陣の若返りを図りました。こうした流れはさらに加速していくでしょう。
-資材高騰への対策は。
協力会社や資材会社への手形の期日を90日から60日に短縮しました。仕入れ先の経営に影響が出ないよう資金繰りが円滑にいくようにし、適正価格で仕入れられるよう環境面を整えています。ただ、ロシアのウクライナ侵攻により先行きへの懸念はあります。受注価格と仕入れ単価のズレが起こらないよう、管理をしっかりしたいと考えています。
-南西海運の事業は。
昨年7月、RORO船1隻を新たに造船しました。従来の貨物船はクレーンを利用してコンテナを船内に載せていましたが、新たなRORO船は船内に直接貨物車両が自走で乗り込むことができます。作業効率向上や積載量も従来より数倍増加できるなど、さまざまな要望に応えられます。
南西海運は食料品や衣料品といった生活物資のほか、建設資材を宮古や八重山に運んでおり、離島のライフラインを支えていますが、さらなる安定供給に努めることができます。
-働き方改革が注目されています。
建設業を魅力ある仕事と感じてもらえるよう役員で議論しながら取り組んでいます。厚生労働省が女性の活躍を推進している企業に与える「えるぼし」に昨年9月、認定されました。女性が働きやすい環境を整備するため、子育て支援や女性2人を管理職として課長に登用するなど対応を進めています。
24年からは建設業の労働時間の上限規制が始まります。残業時間を減らす運動を推進し、県ワーク・ライフ・バランス企業の認証も昨年11月に受けました。インフルエンザ予防接種は同居家族全員分を助成しています。社員が健康でないと会社も立ち行かない。心と体の健康を保てる体制を整えていこうと考えています。
-財務健全化による筋肉質な経営体制の確立を目標に掲げています。
内部留保を確保し、人に投資できる環境をこの数年、意識してきました。おかげで自己資本比率も高まっており、社員に利益を還元できる体制が整ってきています。
大型の設備投資は終わり、今後は人材育成や労働環境の魅力アップをさらに進めます。外注ばかりではなく新たな技術を社内で蓄積できるようにします。経営陣も若返ってきており、財務健全化や人員確保といった次世代へのバトンタッチも見据えた対応に力を入れます。関連会社も自社単独で利益が出せる体制へ注力します。
しもじ・よねぞう 1954年生まれ、宮古島市出身。九州産業大学卒。77年に大米建設入社、90年に社長就任。2013年から大米グループ会長を務める。
Personal Question
(1)新入社員に薦めたい本や映画(2)思い出に残る旅(3)沖縄の持つ魅力・好きなところ
Answer
(1)経済系の専門誌 (2)仕事ばかりで旅はしていない。これから行けるのを楽しみにしている (3)桟橋から見る海の景色