[新春 TOP INTERVIEW 2023]

 -御社のプロフィルを。     

 ことし12月に創立45周年を迎えます。1978年に野原康輝が創業し、1992年に私が引き継ぎました。創立以来、「設計」を通して、お客さまに安心安全な建物を提供し、人と環境に優しい街づくりに貢献してきました。公共施設をメーンに、マンションや共同住宅、一般住宅なども含めた設計・監理を行ってきました。建物耐力度調査、建物物件調査、用地補償全般と多岐にわたる業務で、地域密着の企業を目指しています。県の「おきなわSDGSパートナー」にも登録し、目標11「住み続けられるまちづくりを」に取り組んでいます。

 -この1年を振り返って。    

 ISO27001(情報マネジメント)と14001(環境マネジメント)の認証を取得しました。取得済みの9001(品質マネジメント)と合わせて3部門でのISO認定は、県内の設計事務所で恐らく初めてです。

 そのうち27001は、情報セキュリティーを管理するISMS(情報セキュリティーマネジメントシステム)の国際規格です。取得は情報セキュリティーの重要さを社員に認識してもらう絶好の機会だと、設計図面など一つ一つの情報を取り扱うルールを決め、3年かけて社を挙げて取り組みました。今後、機密性の高い情報を扱う施設の入札条件に27001認証が求められてくる可能性があります。業界内で取得が増えることを願っています。

 -新年の取り組みについて。  

 公共工事は近年、PFIと呼ばれる、民間の技術力や資金を活用した設計施工の案件が増えています。発注者(官)の立場から建設プロジェクトを円滑に進める民間の調整役、コンストラクション・マネージャー(CM)の活躍機会が増えました。当社は昨年、日本コンストラクション・マネジメント協会に県内で初めて入会しました。新年は、同協会が認定するCM資格の取得を目指します。また、共に発展していくために、業界に向けて資格取得の必要性をアピールする所存です。

 さらに、BIMメーカーのソフトを教えることができる資格の取得にも挑戦します。3次元CADであるBIMは、建築図面になじみのない人でも建物のイメージを簡単に理解でき、使いやすく、2次元CADより1・5倍ほど早く図面を作成できます。意匠的な部分だけでなく、設備、構造を含めて1枚の図面に重ねることができ、積算ソフトと連動させて見積もりも出せます。当社は、2次元CADもBIMも県内の設計事務所に先駆けて導入した経緯があります。進化するBIMの対応についても、当社の資格取得者が業界に貢献できれば、と思っています。

 -新春メッセージを。      

 先日、約40年前に仕事をした人と再び仕事ができる機会がありました。長い間続けられたからこそで、社員の支えのおかげです。社会は急激に変化しています。特に若い社員には、技術力とともに、人間的な豊かさで対応できる能力を身に付けてほしいですね。 のはら・つとむ 1953年生まれ、八重瀬町(旧東風平町)出身。日本大学卒。78年に入社。92年から現職。2016年~20年まで県建築士事務所協会会長を務めた。19年度春の褒章で黄綬褒章を受賞。

Personal Question

(1)新入社員に薦めたい本や映画(2)思い出に残る旅(3)沖縄の持つ魅力・好きなところ

Answer

(1)黒人女性の軌道計算手が主人公の映画「ドリーム」(2)万里の長城 (3)今帰仁村の琉球松並木