[新春 TOP INTERVIEW 2023]

 -2022年を振り返って。   

 新型コロナやウクライナの影響で物流が滞ったり、建築資材が高騰したりと、外部環境的には百年に一度といわれるほど厳しい年でした。だからこそ企業としての基礎体力作りに励み、自分たちの強みを見つめ直し、業務の無駄を省いて生産性を高めるよう、積極的に取り組んでまいりました。

 まずは中古物件のリノベーションを手がける新会社リノベースが本格稼働しました。まだ使える建物をスクラップ・アンド・ビルドするとCO2が発生しますが、リノベーションはその削減にもつながります。

 また当社の木造住宅ココウチは断熱性能が高く、夏のエアコンの負荷を減らせるため、環境に優しく快適に過ごせ、おきなわSDGsパートナーに登録する当社ならではの主力商品であると考えております。さらに、点検や修理などの具体的な情報をアプリで見える化して情報を共有し、瑕疵(かし)担保責任の保証を長期化するなど、建てた後のフォローに注力し、長く選ばれ続けるために他社との差別化と満足度向上を図ってきました。

 -御社の強みを教えてください。 

 福地組は総合病院やクリニックなどの医療福祉施設の建設も得意分野で、50棟以上の実績があります。感染防止対策はもちろん、職員が効率的に動ける動線など、きめ細かい配慮で建築に臨んでいます。また、医療福祉施設の建築を検討中の事業者向けに、完成内覧会と合わせたセミナーを継続しており、ご好評いただいています。

 -今後の取り組みについて。   

 1点目は、建設業者として技術を磨き、安全・品質・工程管理を守り、協力業者との情報交換や交流を大切にすることです。

 2点目は、DXを活用した生産性の向上。業務改革推進チームを立ち上げ、目標を立てて取り組みます。例えばアプリなどを使い、協力業者と共通プラットフォームで情報を共有し、移動や電話連絡の時間などを省くことでお客さまとの合意形成のシステムも効率化を図ることができると考えます。

 3点目は、省エネ木造住宅ココウチから広がるスマートタウン構想です。将来的には、各住宅の太陽光発電から発生するエネルギーを、エリア内の住宅、クリニック、コンビニなどの商業施設で活用するような実証実験として取り組みたいと思います。

 4点目は、空き店舗や空きビルを従来と異なる形で活用し、再生するリノベーションプロジェクトです。例えば古いスナックビルの一部を昼はオフィス、夜は交流会ができるスナックバーにしたり、サテライトオフィスフロアを設けたり。新たな客層の導入につながると考えます。

 -70周年となる新年を迎えて。  

 この節目は、次の福地組のあるべき姿へのスタートラインであると考えます。どう成長し発展してゆくかを考えながら、必要な課題に取り組み、「福地組なら、できそう!」という期待にお応えすべく邁進(まいしん)してまいります。 ふくち・かずひと 1983年生まれ。嘉手納町出身。2007年東京大学大学院修了後、三菱商事入社。18年福地組入社。営業次長、専務を経て、21年に社長就任。

Personal Question

(1)新入社員に薦めたい本や映画(2)思い出に残る旅(3)沖縄の持つ魅力・好きなところ

Answer

(1)司馬遼太郎の「項羽と劉邦」(2)新婚旅行で訪れた、音楽が街にあふれるキューバ (3)アジア、アメリカ、日本の文化と融合し熟成されてきた多様性と県民性