[新春 TOP INTERVIEW 2023]
-2022年を振り返って。
秋ごろからようやく感染拡大が落ち着き、全国旅行支援策の後押しもあり、観光客の足が戻って、京都清水の各店舗では売り上げがコロナ禍前に完全回復しました。私自身、昨年は月2回は沖縄へ足を運んでいたのですが、沖縄にも観光の活気が戻ってきているのを肌で感じ、うれしくなりました。
那覇空港の国際線の再開もあって、バナナパラダイス・琉球クロワッサンおもろまち本店、バナナパラダイス那覇空港店、おたべ那覇空港店が順調に数字を伸ばしております。これからも和洋にとらわれない斬新な視点を大切に商品開発を進めます。
-沖縄での取り組みについて。
NHK連続テレビ小説「ちむどんどん」のライセンス商品として「沖縄黒糖ばうむ」「沖縄黒糖ラスク」「沖縄黒糖ラング」「沖縄チョコイン黒糖クッキー」を製造販売しました。中でも5つの島の黒糖の味比べが楽しめる「沖縄黒糖ラスク」が好評です。この4種は沖縄黒糖シリーズとしてライセンス契約終了後も製造販売を継続します。
沖縄食材を活用した商品としては、バナナパラダイスおもろまち本店にて「ぐしちゃん銀バナナ」という、沖縄県産バナナを使ったプレミアムなジュースを提供しています。このバナナは当社の系列の洋菓子店でもケーキに使用しています。さらに、焼きチョコには、うるま市産の小麦粉を使用しています。
現在、全社的に原材料の国産化に取り組んでおり、今後も沖縄食材の活用に力を注ぎ、将来的にはオール沖縄食材での商品も目指したいと考えます。
-23年の重点施策は。
観光の復調とともに、抑えてきた新卒採用に力を入れ、来年4月の採用に向けて始動します。当社では、初任給の地域格差を撤廃し、沖縄の初任給を本社と同一基準にし、この春には沖縄でも会社説明会を予定しております。
また、11月には京都本社・工場に隣接して、のべ1千坪の京ばあむ専用工場「アトリエ京ばあむ」が完成します。1階は物販店舗と工房、2階は見学できる工場、3階はカフェとなっており、京都の新たな観光スポットに成長するよう願っています。
現在、沖縄の県内企業数社と相談している案件もあり、今年はОEМなども積極的に展開していく予定です。
-新たな年を迎えての抱負を。
健康第一に、コロナ禍前の日常に戻していくことが非常に重要だと思います。私は京都で祇園祭の役員をしておりますが、昨年は3年ぶりの開催となり、多くの見物客でにぎわいました。懸念していた大きな感染拡大も起こらず、これを機に全国的に催事が再開しています。
観光立県である沖縄は京都と同様に、これからはどん底から上がっていくばかりです。十分に感染予防対策を取りながらコロナ禍前の日常を取り戻し、回復の年となるよう、心から期待します。 さかい・ひろあき 1966年京都生まれ。85年、アメリカの料理製菓専門学校「The Culinary Institute of America」入学。92年株式会社おたべ入社。副社長を経て2001年から現職。15年、社名を株式会社美十に変更。
Personal Question
(1)新入社員に薦めたい本や映画(2)思い出に残る旅(3)沖縄の持つ魅力・好きなところ
Answer
(1)新人研修の感想文の課題、本田宗一郎著「夢を力に」(2)年2回は訪れるナパのワイナリーと毎年訪れるNY(3)訪れる人を歓迎する温かさ、夏も冬も楽しめること