[新春 TOP INTERVIEW 2023]

 -2022年を振り返って。   

 4年ぶりにFC琉球の社長に戻り、いい成績、いい活動ができるように取り組んできましたが、結果はJ2で21位。今年はJ3で戦うことになり、非常に残念で悔しい思いがあります。ただ、18年に選手やサポーターが心一つにしてJ3で優勝したように、今季も頂点に立ち、J2に戻りたいです。

 昨季は新型コロナが収まらない中、選手にもコロナが多発して開幕を迎えました。その後もけが人やコロナ離脱で十分な戦力を供給できないまま、中盤で最下位となり、喜名哲裕監督を交代せざるを得ませんでした。クラブとしてもうまくサポートできずに申し訳ないと思っています。新監督にナチョ・フェルナンデス氏を迎え、弱点の守備力の強度を上げることができましたが、またもけがで複数の主力が離脱し、本当にあと一歩足りずに残留を逃しました。

 -23年のビジョンは。      

 J3時代からつくってきたボールをつないで攻撃を組み立てるポゼッションサッカーをしていきます。ナチョ前監督で改善した守備など良い部分を倉貫一毅新監督が生かし、琉球らしさを再びピッチで表現していきます。

 経営面ではメインパートナーのGMOコインと取り組んだ暗号資産(FCRコイン)の発行もあり、黒字化を達成し、業績も過去最高となりました。悲願だったクラブハウスと練習拠点が八重瀬町に完成し、来季J3を戦う上でプラスになると思います。

 FC琉球は23年で創設20周年を迎えます。これまでを振り返り、21年目にどう向かっていくのかクラブのビジョンを打ち出したい。試合を見たことがない方に対し、どうしたらスタジアムに来てくれるのか、1試合1試合に工夫とコストをかけて、魅力的なものにしていきます。そのためのマーケティングにも責任者やスタッフを配置して強化していきます。

 -サッカーのワールドカップ(W杯)カタール大会の盛り上がりもいい影響を与えそうですか。

 そう思います。私もカタールに行って応援してきましたが、まるでホームのような声援で、8万人近い人が一喜一憂を共有するサッカーの醍醐味(だいごみ)を経験しました。将来、この舞台に沖縄出身、FC琉球出身の選手を送り出したいと思っています。現在、FC琉球を経てJ1のビッグクラブで活躍する選手も出ています。それをもう一段引き上げて、沖縄から世界トップレベルの選手を育てることをクラブの大きな目標にします。アカデミーには喜名元監督が入り、情熱を持って育成に取り組んでくれます。また、家庭の事情でサッカーを諦めないように、来年からFC琉球高等学院で奨学金制度も取り入れたいと思います。

 ワールドカップの日本代表は試合に勝つことで日本全国を盛り上げました。来季はクラブとしても勝ち点3にこだわり、ファン、スポンサー、沖縄全体が元気になる流れをつくっていきたいです。
くらばやし・けいしろう  1981年生まれ。東京大学在学中の2004年サッカーボール製造会社(イミオ)を創業。16年に琉球フットボールクラブ(株)の代表取締役社長、20年4月に代表取締役会長。22年4月に4期ぶりに社長に再就任した。

Personal Question

(1)新入社員に薦めたい本や映画(2)思い出に残る旅(3)沖縄の持つ魅力・好きなところ

Answer

(1)ドラマ「梨泰院クラス」(2)エネルギッシュなアジアの新興国(3)国内外から好印象なところ。人口増加も魅力