横浜発明振興会顧問 金城寿雄さん(81)=国頭村出身

 旺盛な発明意欲は、現役を退いてなお衰えることを知らない。「アイデアで古里に貢献したい」。そう熱っぽく話す口ぶりは、郷土愛にあふれていた。

自宅の小屋で作業する金城寿雄さん=横浜市旭区

 もともとは日本ビクターの優秀な技術者だった。「日本のテレビの父」といわれた高柳健次郎さんの「最後の門下生」として薫陶を受け、在職中に約950件の特許を出願した。

 ビデオテープを回すドラムを改良して、VHSの7倍速の早送り・巻き戻しで画像の乱れを消し、「ビデオの常識が変わる」と評された。VHD(ディスク式カラオケ)も世に送り出した。

 1996年に退職したが、「自分にはアイデアしかない」と思い、発明品を製造・直販する会社「アイデア技研」を設立。自宅に8畳ほどの作業小屋を造った。日々研究を重ね、退職後の特許出願件数は約60件に上る。

 特に、ゴルフボールに着目してきた。調べてみると、ゴルフボールを使った特許はなく、とことんこだわった。ボールの凹凸を利用した美顔器はネット通販で7千個売れたという。

 2014年に特許を取った新スポーツ「ホームカーリング&ボッチャ」もその一つ。転がりをゴルフボールの10分の1に減速させた「フロアボール」を2~5メートル先の的(幅約30センチ)を狙って近づける競技で、氷上のカーリングとパラリンピック種目のボッチャの要素を合わせた。横浜の地元の老人クラブや通所施設などで人気を集めている。

 「沖縄発祥のスポーツとして認知され、広まってほしい」。世代を超えて楽しめる新スポーツは、対人関係が難しい昨今、コミュニケーションにつながる競技になってほしいという願いも込められている。

 国頭村で中学まで過ごし、首里高を経て日大に進学。遠く離れた生まれ故郷への思い入れは強い。カーリングと同様、戦略性が求められる新スポーツ。「頭と体を使うので、スマートフォンやテレビゲームよりも面白い。健全なスポーツに子どもたちの目を向けさせ、実践的な教育をしたい」と語る。

 今後も目標は、賛同者とともに「ホームカーリング&ボッチャ」の協会を沖縄で立ち上げること。「ボランティアでルールや遊具の使い方を伝授しながら、新スポーツを普及させたい」。場合によっては特許権を譲ってもいいと考えているという。「アイデアで地域おこしができたら」。思いがあふれるように、取材中に何度もこの言葉を口にした。(東京報道部・西江昭吾)=連載・アクロス沖縄<53>

 【プロフィール】きんじょう・ひさお 1936年、国頭村生まれ。首里高卒業後、日大理工学部へ進学。62年、日本ビクター開発研究所に入社。「テレビの父」といわれた高柳健次郎さんから教えを受ける。在職中の特許出願は約950件に上る。退職後、横浜発明振興会に入会。2009~17年5月に第8代会長を務める。