[意外と知らない「有事」の話](3) 金門編(下)

 「金門島ではかつての戦争は終わったけど、再び戦う準備はできてる。そんなメッセージかな」

 昨年9月から交換留学生として国立金門大学に通う琉球大学国際地域創造学部4年次の長尾晃助さん(23)は、中台間の戦争の爪痕が残る金門島と沖縄の風景を比べた印象を語った。これに対し「沖縄の戦跡には、もう戦う意志がない」と感じると話す。

 金門島に点在する防空壕は、中国軍が金門島に向け大規模な砲撃を仕掛けた確かな跡だった。浜辺には、中国軍の侵入を防ぐバリケードが敷かれ、台湾軍の戦いをたたえる兵士のモニュメントもある。

 中国語を深く学びたい一心で、日本人学生がほとんどいない金門大学を留学先に選んだが「中台関係の最前線の島、台湾有事に一番近い島に行くんだという気持ちはあった」。特に祖父母からは強く心配されたという。...