[うちな~う](72)
寝食を忘れ、コーヒー焙煎(ばいせん)機の前で、ひたすら豆と向き合う。
沖縄市高原で自家焙煎のコーヒー専門店・豆ポレポレを営む仲村良行代表(44)は20年余り、地道なこの作業を積み重ねてきた。「生豆の色や匂いで質を見極め、火のかけ方と焼き時間を決める。微妙な判断と決断が、香りと味に大きな違いを生む」と言う。
独学で技を磨き、2017年、22年の日本スペシャルティコーヒー協会の全国大会で優勝を果たした。18年度世界大会では2位となり、業界のホープとして期待されている。世界大会初代覇者の後藤直紀さんは「私以降、日本人の優勝はない。大会は競技なので絶対はないが、次に世界を取れるのは彼だと思う」と、エールを送る。
一流の焙煎士たちと同じく仲村さんも、職人的な勘とデータを両輪に技術向上を図る。生豆によって、焙煎機を1度単位で温度設定し、焼く時間を決め、その数値をパソコンで管理。「豆の本来持っている良さを最大限に引き出したい」と、研究者並みの情熱で根気の要る作業を続けている。
仲村さんは「ハマればハマるほどコーヒーは面白い。この魅力を沖縄から全国に発信し続け、ブームで終わらせることなく、文化と呼ばれるまで定着させたい」と、意気込む。(写真部・下地広也)
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