ICタグ型観光サービス「スマイルタグ」をスマホアプリ化/観光プラットフォームへ向けた基盤構築に補助事業活用

アフターコロナに向けて本格的に動き出した沖縄観光。新しい観光の形を模索し、コロナ禍で打撃を受け、コストや人材を掛けられない観光業界を活性化するため、新たなアプリケーション開発に取り組んでいるのが、ユービックシステム(那覇市、米須友昭社長)だ。
2014年からICタグを活用した観光サービス「スマイルタグ」を運用する同社。加盟店での買い物に使える電子マネーとポイント付与、ゲーム、観光施設入場券、クーポンが付帯したカード型ICタグを、利用契約を結んだ旅行会社のツアー特典として観光客に配布し、沖縄観光をよりお得に、快適に楽しんでもらおうというサービスだ。観光客にも加盟店にも好評で、2019年には国際通り78店舗、8つの観光施設、沖縄美ら海水族館や県立博物館・美術館などが加盟していた。
しかし、新型コロナで状況は一変。2022年度には国際通りの加盟店は13店舗にまで減った。ネックになったのは、導入コストだった。ICタグの購入費と、加盟店では導入時に専用の決済端末やレシートプリンターなどの費用が必要で、旅行社、 店舗には大きな負担となった。導入コスト削減の解決策として目を向けたのが、現行サービスをスマートフォンアプリに移行することだった。プロジェクトリーダーの国仲正さんは、「アプリにすることで、ICカードや紙配布のクーポン、専用機器も不要になる。誘客ための仕組みも拡充できれば、利便性と付加価値を高めることもできる」と考えた。沖縄県の補助事業「ICTビジネス高度化支援事業」に応募。今年度の事業として採択され、「スマイルタグアプリ」の開発に乗り出した。
加盟店の誘客力アップと観光客の利便性向上を両立
プロジェクトでは、アプリの基本機能として決済と誘客のシステムを構築。幅広い年代が利用することを想定し、シンプルで迷いなく操作できる画面構成にこだわる。観光客は、自分のスマホにアプリをインストールしてユーザー登録。加盟店に置かれたQRコードを読み取ることで、買い物の決済ができる。クーポンもアプリに組み込んだ。
誘客の仕組みとして新たに、プッシュ通知機能を追加。性別や年齢、位置情報などを絞り込み、加盟店から直接、アプリ利用者にセールなどのお知らせが送信できる。また、GPSの位置データを取得して、利用者の動態情報を収集。「プッシュ通知の訴求力を高める助けになる。利用者にも、移動距離に応じたポイント付与で還元する」。 観光施設入場の利便性を高めるため、独自の顔認証システムも活用する。
沖縄観光のプラットフォームとして全体の活性化めざす
今年のゴールデンウィークからの本格運用を目指し、コロナ前に加盟していた店舗への再アプローチを中心に、加盟店の再拡大を図る。今後は、未開拓だった離島への展開、インバウンドや県民の利用も視野に、AIの活用や他社システムとのAPI連携などの機能拡張を推進。沖縄観光のプラットフォームを目指す。米須社長は「沖縄の企業が柔軟に連携しながら、自社にできないことを補い合うことで、それぞれがハッピーになり、沖縄観光全体を活性化できる」と力を込めた。
【企業情報】株式会社ユービックシステム
本社:沖縄県那覇市小禄1831番地1 沖縄産業支援センター 702号室
開発センター:沖縄県うるま市洲崎14番17 沖縄IT津梁パーク中核機能支援施設A棟107号室
設立:2004(平成16)年1月21日
事業内容:ソフトウェア受託開発、ネットワーク保守サポート、クラウド・Web・スマホアプリなど自社パッケージソフトの企画・開発
令和4年度 沖縄県「ICTビジネス高度化支援事業」は一般財団法人 沖縄ITイノベーション戦略センター(ISCO)が受託しています。支援事業の詳細・過去の事例については「沖縄ICT+(プラス)」から確認できます。 https://okinawaict-plus.com/
制作:沖縄タイムス営業局