中華圏で旧正月を祝う「春節休み」が始まった。東京の百貨店や家電量販店では「春節快来」などの赤、金色の呼び込みの張り紙があり、大勢の中国人観光客でにぎわっている

 ▼20年前に都内で住んでいたころは、繁華街を闊歩(かっぽ)する外国人は欧米系で、中国やアジア系といえば留学している苦学生のイメージであった。いまでは銀座かいわいで中国語を聞かない日はない。世界経済のプレーヤーの変わりぶりを実感している

 ▼正月の風物詩の福袋は春節にも登場し、店頭には中国語を主体に多言語で書かれた商品札が並ぶ。各店とも旺盛な購買意欲を取り込もうと、あの手この手を繰り出している

 ▼国内の外国客はこの10年で倍増し、2014年は1341万人と過去最高を更新した。沖縄も前年を大幅に上回って89万人が訪れた。関東、近畿圏には及ばないが、沖縄を訪れる外国客の割合は、四国、東北地方の2~4倍にもなり、地方では有力な旅先に選ばれている

 ▼その沖縄で、外国客の宿泊先が確保できない事態が起こっているという。プロ野球キャンプと重なったなど要因は複合的だが、春節は毎年やってくる

 ▼江戸の古川柳にある。〈千客万来みな来ると困るなり〉。誘客してもイメージダウンだけが心に残って帰るとならないよう、振り絞られる知恵に期待している。(宮城栄作)