沖縄空手

空手で己磨き、仕事にも自信 「隙間の哲学」稽古の原動力

2017年7月16日 13:39

【連載・空手と私】上江洲仁吉さん(WUB沖縄会長)

 早朝、オフィスの一角から「バンッ!バンッ!」と音が響く。リズムよく巻きわらを突く拳の主は上地流八段、事務関連品販売の丸仁(那覇市)社長で、WUB(ワールドワイド・ウチナーンチュ・ビジネス・アソシエーション)沖縄会長の上江洲仁吉さん(67)だ。左右200回ずつ鍛えるのが始業前の日課。「空手は人に負けてはいけない。でも勝ってもいけない。この隙間が哲学なんですよね」。鍛錬はビジネスの世界でも生きているという。(学芸部・榮門琴音)

職場併設の広間で稽古をする上江洲仁吉さん=10日、那覇市首里石嶺の丸仁(榮門琴音撮影)

「体と頭は死ぬまで鍛えたい」と語り、パソコンに向かう上江洲仁吉さん=10日、那覇市首里石嶺・丸仁

職場併設の広間で稽古をする上江洲仁吉さん=10日、那覇市首里石嶺の丸仁(榮門琴音撮影) 「体と頭は死ぬまで鍛えたい」と語り、パソコンに向かう上江洲仁吉さん=10日、那覇市首里石嶺・丸仁

 空手と出合ったのは20代前半のころ。仕事帰りにお酒ばかり飲むのは生産性がないと思い、職場から近かった上地流宗家・普天間道場の門をたたいた。

 当時は今と違い、空手をやっているのは「繁華街の用心棒」というのが世間の見方だった。それでも、始めたのにはもう一つ狙いがあったという。

 当時、普天間道場の門下生の半分は外国人。海外志向が強く、英語を学びたかった上江洲さんは「体を鍛えながら英語も学べば時間を有効に使える」と考えた。「与えられた時間はどんな人でも同じ。だから一石二鳥を狙うんです」

 しかし、現実は過酷だった。上地流2代目・上地完英氏に師事し、鍛錬を重ねる日々。とにかくけがが絶えなかった。組手になると、興奮した相手の拳が顔に当たる。「いくら強くても顔は鍛えようがないからね」と当時を思い出すと苦笑いが浮かぶ。

 相手の腕と自分の腕をぶつけ合って鍛えた日には、お箸が扱えず、フォークでそばをすすった。「上地流は鍛えないとけがをする。よっぽど好きじゃないと続かない」という。

 鍛錬はビジネスの世界でも生きた。上江洲さんは「空手は難儀して練習しても表に出せるものではない。自分自身の修行だから。空手のおかげで自信とプライドがつき、肝が据わった」と語る。

 ことし6月、WUB沖縄会長に就任し、世界中の空手家と交流してきた経験がビジネスの分野にも広がる。沖縄の伝統である空手を観光客にもっと見てもらいたいと構想も描いているという。

 多忙を極めても、週末2日間は型の稽古を欠かさない。「伝統なので祖先がつくった型は崩さない。これが使命ではないか」と上江洲さん。相手に負けても勝ってもいけない-。「この隙間の哲学が好き。だから練習するんです」と語った。

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