[東京報道プラス][アクロス沖縄](182) ミュージシャン 沖縄電子少女彩(さや)さん(22)=沖縄市出身

 サイケデリックで独創的な雰囲気を基に、ポップスやテクノ、民俗音楽などを取り入れた多彩な楽曲が売り。ジャンルにこだわらない精力的な曲作りのほか、先輩ミュージシャンとも数多く共演し、腕を磨いてきた。「チャンプルーが好きだから、作曲にも表れているのかも」とはにかむ。コロナで中止になった海外公演の実現が、今の目標。「もっと外に出て、成長したい」。挑戦を信条に、いつでも明るく、前を向く。

 琉球音階とテクノを組み合わせた曲にうちなーぐちを乗せたかと思えば、ノイズミュージックでアンダーグラウンドな世界を表現する。幅広い楽曲の作詞作曲編曲は、ほぼ全てを自ら手がける。

 2015年に沖縄のオーディションで選ばれ、アイドルグループでデビュー。17年にソロとなり、電子機材を使った曲作りを始めた。翌18年にはプロを志し、上京する。

 「考えるより先に動くタイプ」。作曲は初めてだったが、さまざまな楽曲を聴き、自分なりにアレンジしていくことで身につけていった。コロナ前は週に2~3回以上のライブをこなし、研さんを続けた。

 「私だけがステージを自由に使っていい時間。ファンに喜んでもらえるとなおさらうれしい」とライブを楽しむ。観客の反応を見て、曲作りにも生かしてきた。

 さまざまなジャンルを手がけるが「ベースにあるのは沖縄」と強調。琉球音階やうちなーぐちを取り入れるほか、ダンスでは沖縄の自然を描写することも。「特に崇元寺の雰囲気が好き。ガジュマルの枝から日の光が差し込み、葉が静かに揺れる空気感は、即興ダンスでもよくイメージする」という。

 祖母の戦争体験を基にした曲もある。「私たちの世代では想像もできないが、戦争の悲惨さや恐ろしさは語り継がないといけない」と力を込める。

 そういった楽曲は「今までになかった世界観」と評価され、20年にはアジアとヨーロッパを回る海外ツアーが決まった。コロナで中止になったが、「今を楽しむべきだと気付かされた」と前向きに捉える。

 自粛期間中は作曲に専念。「作った曲は100は超える」という。SNSで呼びかけ、国内のアーティストとコラボ制作もし、スキルアップにもつなげた。

 「人が多く、電車の乗り方にも戸惑うし、いまだに都会に慣れない」と笑う。ただ、「一流が集まる場所で刺激が多い。いろんな人に会い、イベントに足を運び、もっと吸収したい」と意欲を見せる。

 「沖縄がベースにあるから、多様な楽曲のアレンジが生きると思う。沖縄を大切にして全国、世界に挑戦していきたい」と声を弾ませた。(東京報道部・照屋剛志)

おきなわでんししょうじょ・さや 2000年生まれ、沖縄市出身。小学生の頃からミュージカルやヒップホップダンスに親しみ、16年に沖縄アバンギャルドテクノアイドル「Tincy」に加入。ソロ活動を本格化させ、18年に上京した。