「生と死の意味とは」-。簡単に答えられるものではないが、18日に105歳で亡くなった聖路加国際病院名誉院長の日野原重明さんはこうした問いに多くの示唆を残している

▼「生活習慣病」を提唱し、予防医療や終末期医療などの普及に尽力。自立した高齢者の生き方の提案や小中学生に命の授業を行うなど幅広い分野で命や平和の大切さを訴えてきた

▼東日本大震災以降、「命の使命」についての問いかけが印象深い。命が突然奪われる現実。いつかは訪れると理解していても、震災や事故など理不尽とも思える結果にどう向き合うか

▼「死んだ者の生、残された者のいのちの意味を見つけること」。日野原さんは著書「『いのち』の使命」でこうつづる。前向きに一歩踏み出す、復興に力を尽くす-など残された使命に気づき、命の意味を深めることを促す

▼そう説くのも、1970年に起きた「よど号ハイジャック事件」の際に乗客として搭乗した経験からだ。死んでいたかもしれない状況で「生かされている」と実感し、意味を理解したという。人生を変えたという体験から出る言葉が響く

▼「生涯現役」として100歳を超えても現場に立ち、患者と向き合った。凜とした姿と行動が、命を見つめる機会を与えてくれた。多くの人生にとっての主治医でもあった。冥福を祈りたい。(赤嶺由紀子)