財布そのものは、警察によれば、飛び降りた健介(けんすけ)がうつぶせに倒れている、そのすぐそばの植え込みに落ちていたそうだ。黒い革の長財布は二年ほど前のクリスマスに千秋(ちあき)が贈ったもので、健介はそれを常日頃からデニムの後ろのポケットに入れていた。