[裁かれぬ性犯罪 「不同意」規定拡大へ](1)

 県内在住の女性(22)が、勤務先の社長から強制わいせつの被害を受けたと訴えている。

 被害に遭ったのは、社長に呼ばれて参加した商工会の懇親会の後だった。深夜、帰ろうとすると社長が「君の部屋で飲み直そう」と持ちかけてきた。女性のアパート近くに駐車しているといい、「運転代行サービスを待つ間だけ」と言ってきた。

 入社当時から社長のセクハラに悩んでいた。断りたかったが翌日は給料日。毎月社長から直接受け取っており機嫌を損ねたくないと考えて、部屋に招いてしまったという。

 部屋に入った途端、社長は性交を迫った。「やろうよー」と腕を引っ張る社長に、女性はきっぱりと「嫌です」「やめて」と拒否した。

 社長はなおも女性に迫ったという。「最初は服の上から、そのうち肌をじかに触ってきた。押さえ付けられ動けなかった」

 下半身を触られ、いつの間にか服をまくられて背中をじかになめられた。体は圧迫されて声も十分に上げられない。女性は体をよじって抵抗。社長の下からどうにかはい出しベランダへと逃げた。

 部屋に居座る社長。女性が「もう帰って」と告げると、「出社はゆっくりでいいよ」と言い、何事もなかったように帰っていったという。

 「社長に襲われた」。女性から友人が電話を受けたのは朝6時ごろだ。急ぎアパートに駆け付けると、乱れた部屋で立ち尽くす女性の姿が見えた。

 「彼女はひどく混乱していた」。友人は、県性暴力被害者ワンストップ支援センターに電話。シャワーを浴びたり、部屋を片付けたりせずに通報するようアドバイスを受け110番した。

 警察官はすぐにやって来た。女性の体に付いた唾液の跡を採取したり、人形を使って再現したり、1日がかりで実況見分が行われた。

 社長が来ることを恐れ、女性は事件の日以来、部屋に戻っていない。引き払い、今は別の自治体で暮らす。出社もできなくなり、後日、心的外傷後ストレス障害(PTSD)の診断を受けた。

 しかし、事件から約2年半後の昨年12月、女性の元に届いたのは「不起訴」の連絡だった。

 「私は仕事も、住居も、健康も失ったのに、社長が罰せられないのはおかしい」。女性は強制起訴を求め、近く検察審査会へ申し立てる意向だ。

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