鉄鋼製の扉が激しい銃撃の末、こじ開けられた。自動小銃を持った制服姿の南スーダン兵が、国際機関の外国人職員ら50人が滞在する宿泊施設を急襲。金品を奪い女性を暴行、地元記者1人を射殺した

▼浴室に隠れた職員は、電話やメールで国連のPKO派遣団に救助を要請したが、中国やエチオピアの部隊は出動を拒んだ

▼2016年7月。首都ジュバは大統領派と反体制派の戦闘で、市民ら数百人が死亡。陸上自衛隊のPKO宿営地内にも流れ弾が着弾した

▼陸自部隊は日報で、大規模な戦闘に巻き込まれる可能性や「国連活動の停止」にも言及。日報は、現地自衛官から生命の危険を訴えるものでもあった

▼稲田朋美防衛相が2月の防衛省最高幹部による緊急会議で、日報の隠蔽(いんぺい)を了承していたという。稲田氏は日報で「戦闘」が報告されていたが、憲法9条の問題になることを避けるため「武力衝突」という言葉を使い、実態とかけ離れた治安情勢を国会で答弁してきた。速やかに日報が公開されていれば、安全保障関連法に基づく新任務「駆け付け警護」の付与の判断にも、影響を与えただろう

▼稲田氏は東京都議選で「自衛隊としてもお願いしたい」と発言し、憲法違反と批判を浴びた。文民統制を果たさず自衛隊を政治利用する防衛相に、重い職責を任せることはできない。(知念清張)