夏が近づき、沖縄旅行に訪れる観光客も日に日に増えている。県内一の繁華街・国際通り(那覇市)で目立つのは、オリオンビールのTシャツを着た観光客の多さだ。「定番」は2000円前後から、国内外ブランドとのコラボ商品は6000円台までと幅広い。オリオンビールは県外でも知名度が高いが、Tシャツが人気なのはなぜなのか? アイスクリームのブルーシールをはじめ、他の地元企業のTシャツの売れ行きは? 街を歩く観光客や土産物店、スーパー、メーカーに聞いてみた。(デジタル編集部・新里健)

 

 リニューアルして間もない那覇市の第一牧志公設市場に接した市場本通り。4月、大きなロゴの「定番」、ドラフト缶のオリオンビールTシャツを着て買い物中だった神奈川県の会社員、岩田美紀さんは、今回が3回目の沖縄旅行。「ずっと欲しかった。シンプルなデザインが好き」と喜んだ。

神奈川県の岩田美紀さん(左)と夫の圭介さん。定番のドラフト缶のTシャツがお気に入りという=2023年4月11日、那覇市松尾の市場本通り
神奈川県の岩田美紀さん(左)と夫の圭介さん。定番のドラフト缶のTシャツがお気に入りという=2023年4月11日、那覇市松尾の市場本通り

 サーターアンダギーを食べながら、友人と土産を品定め中だった大阪府の会社員、佐伯征哉さん(22)は背中にシーサーをあしらったTシャツを選んだ。「沖縄っぽい雰囲気がいい」という。

 定番のドラフト缶Tシャツを着て国際通りを移動中だった山口県の会社員の男性(27)は、前日に偶然、土産物店で見かけて買った。「オリオンビールは知っていたが、Tシャツもあるとは思わなかった。ゆったりして着心地がいい」

大阪府の佐伯征哉さん(右)と京都府の佐伯美月さん。征哉さんは、背中にシーサーが入ったシャツを選んだ=2023年4月11日、那覇市松尾の牧志第一公設市場前
大阪府の佐伯征哉さん(右)と京都府の佐伯美月さん。征哉さんは、背中にシーサーが入ったシャツを選んだ=2023年4月11日、那覇市松尾の牧志第一公設市場前

 オリオンビールTシャツの人気は、データに表れている。泡盛専門店を含め、県内に7店舗を構える土産物店「おきなわ屋」では、2023年1〜4月の「定番」の白のドラフトTシャツの売り上げは、コロナ禍が始まった2019年1〜4月に比べ、66%伸びた。コロナ禍が底を打ってからは右肩上がりだ。2022年にはブルーシールのロゴTシャツも販売を始め、2023年1〜4月の売り上げは、前年同月比で約50%伸びた。

 県内のスーパー大手、サンエーでも、オリオンビールを含む沖縄企業のロゴTシャツの売り上げが、2023年4、5月は前年同月比で約2倍に伸びた。

国際通り沿いのおきなわ屋本店に並ぶオリオンビールのTシャツ=2023年4月19日、那覇市牧志
国際通り沿いのおきなわ屋本店に並ぶオリオンビールのTシャツ=2023年4月19日、那覇市牧志

 オリオンビール、ブルーシール両社とライセンス契約を結んでTシャツのデザイン・製造・販売を手がける...