【東京】沖縄県豊見城市の旧海軍司令部壕の未公開部分で見つかった万年筆が戦没した宮本衛(まもる)さんの物だと分かり、娘の坂下満子さん(85)=東京都=に12日、返還された。この日は宮本さんの命日に当たるといい、坂下さんは「巡り合わせだなと感じている」と語った。(東京報道部・嘉良謙太朗)

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 万年筆は、遺骨収集に取り組む京都府のNPO法人「空援隊」が2月に実施した調査で見つかった。宮本さんは千葉県出身で、万年筆に「宮本」の文字や社名が彫られており、遺族にたどり着くことができた。

 宮本さんの出征時、坂下さんは5歳。二重橋(東京都千代田区)で見送った父の姿が最後となった。沖縄で戦死したことは分かっていたが、遺骨は見つからないまま。身に着けていた持ち物で残っているのは、78年の歳月を経て返還された「これ(万年筆)だけ」という。

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 連絡を受けた時、驚きと同時にうれしさが込み上げた。「よっぽど帰ってきたかったんだな」と、亡き父に思いをはせる。

 時折、目を潤ませながら感慨深そうに万年筆を手に取った坂下さん。調査に携わった関係者に感謝を伝え「宝物です。これからは抱いて寝ます」と表情を緩めた。今も多くの遺骨や遺留品が眠る沖縄。「一人でも多く見つかってほしい」と願った。