沖縄県糸満市喜屋武沖でダイバー7人が一時行方不明になった19日の事故。漂流者6人は流されないように身を寄せ合って救助を待った。ダイビング船が出発した糸満漁港には、捜索に協力した漁師や家族らが集まり、全員無事の報に胸をなで下ろした。一方、海がしける中で遊泳する危うさを指摘する声もある。(社会部・玉那覇長輝、矢野悠希、南部報道部・又吉健次)
行方不明になった現場のルカン礁は、サンゴ礁がリング状に連なるダイナミックな景観で、ダイビング客に人気が高い。7人は潮流に身を任せるドリフトダイビングのさなかだった。
通報から約2時間後、ルカン礁から約6キロ離れた地点で、波をかぶりながらフロートにつかまり海面を漂っている6人を第11管区海上保安本部のヘリが見つけた。
巡視船が近づき、救助用資機材を使って引き上げを試みたが、荒波で難航。無理をすれば負傷のリスクがあると判断し、複数回に分けてヘリでつり上げる策に切り替えた。全員救助の一報に、118番通報したインストラクターの女性は泣き崩れた。
「人が流れているので捜しにいってほしい」。豊見城市の漁師(48)は午後0時半ごろ、船長の妻からの連絡で事故を知った。偶然、漁港近くで買い物をしていたことから10分ほどで出発。「人影を見逃さないように速度を落として捜した」という。同乗した南風原町の漁師(34)は「夏とはいえ海の中は冷たい。救助されて安心しました」とほっとした表情だった。
ダイビング船が午後4時ごろ漁港へ戻ると、待機していた船長の妻が赤ちゃんを抱っこして現れた。既に全員の無事が確認されたためか、動揺した様子は見せず、泣いているダイビング船の女性職員を励ます場面もあったという。