米軍キャンプ・ハンセン内で有機フッ素化合物PFAS(ピーファス)を含む泡消火剤が保管されていたことが、海兵隊の内部文書で初めて分かった。2019年9月時点で、PFAS泡消火剤を積んだ消防車など21台が基地内にあった。ハンセンに近い沖縄県金武町の河川などでは国の暫定指針値を超える高濃度のPFASが検出されている。仲間一町長は「基地が汚染の原因となっている可能性が高い。原因究明のため、基地内の立ち入り調査を求めたい」と話した。(ジョン・ミッチェル特約通信員、北部報道部・下地広也)
本紙が米情報公開法で在沖海兵隊幹部のメールを入手した。19年9月時点で在沖基地にはPFAS泡消火剤を積んだ消防車や消火機器が計65台あるとの記述があった。
同年8月29日には、普天間飛行場で消防車がバリケードに突っ込み、消火剤タンクに穴が開く事故が発生。400リットルの泡消火剤が漏れ、側溝に流れ込んだ。
海兵隊幹部はメールの中で「在沖海兵隊基地で泡消火剤漏れの事故が起きるのはここ数カ月で3回目のはずだ。3回は多い」と指摘している。
金武町が22年に町内の河川などで行ったPFASの水質調査では、キャンプ・ハンセンに近い屋嘉区の旧処分場地内から、環境省が定める暫定指針値の15・6倍に当たる780ナノグラムのPFASが検出された。
同町は基地が原因とみて、立ち入り調査を求めてきた。PFAS泡消火剤の存在が裏付けられ、海兵隊は説明責任を果たすことが一層求められそうだ。
屋嘉区の島本勇人区長は「汚染の原因は米軍基地からの可能性が高いと思う。住民から不安の声が上がっている。風評被害も出ている。国には早急な対応を求めたい」と訴えた。