「お金持ちのニートになりたい」と言っていた高校生が、熱意を持って働いている人の話を聞き「観光業で働きたい」と変わったという。先日、沖縄市で開かれた就業についてのイベントで紹介された
▼「高校に行かない」と決めていた中学生が、地域の大人の働き掛けや「将来やりたい仕事は、何かない?」という問い掛けから具体的な職業を意識し、真剣に高校受験に取り組み始めた、と別の場で聞いた
▼若者が周囲とのつながりを機に前を向き、次のステップへ踏み出した。きっかけがあれば目標が見え、努力できる。努力はやがて力になるだろう
▼失業率が高い沖縄市やうるま市では、若者の失業や就労意識がクローズアップされている。沖縄市では、中学卒業後に進学も就職もしていない子が昨年は約120人、卒業生の約7%で、県全体の約3%の2倍以上になる。ちなみに全国は0・8%
▼彼らの状況は、ほとんど把握されていないという。家業手伝いなど積極的な役割があればいいかもしれない。しかし、やるべきことが見つからないまま、外部とのつながりが薄くならないか気掛かりだ
▼仕事は、生活の糧を得るだけでなく、社会に関わる術(すべ)でもある。若者が自分の幸せに向かう道を見つけられるように、周囲の大人にできることが、まだありそうだ。(安里真己)