東京勤務時代、中谷元氏の話を聞き、率直な物言いをする政治家という印象を受けた。それだけに自民党や政府の思惑がよく見えた
▼2012年9月のオスプレイに関するインタビューでは配備の重要性を強調するとともに、名護市長選で辺野古移設を容認する市長誕生に向けた取り組みに言及した。「市長が容認したら、県の姿勢も変わるだろう」と話していた
▼言葉通り、中谷氏は昨年の市長選前に何度も名護に入り、移設容認する陣営の候補者一本化などに関わった。中谷氏が向き合うのは移設容認派だけで、反対する側は眼中にない
▼防衛相の中谷氏は13日、移設に反対する翁長雄志知事との面会について「対立が深くなるのでは、お会いしても意味がない」との考えを示した。「沖縄に丁寧に説明し理解を得たい」という政府の見解と矛盾しているが、安倍政権の本音だろう
▼中谷氏はホームページで「人間は、やる気があったら何でもできる」という信条を明らかにしている。新基地を力ずくで建設する強硬姿勢にもつながっているのか
▼ボーリング調査が再開された厳しい局面で、随筆家の故岡部伊都子さんの言葉を思い出した。「武器なき民衆には何の力もないように思われますけど、決してそうではない。『署名する、歩く、座りこむ、また集まるのも大きな力』」(与那原良彦)