不登校やひきこもりの子ども、若者の社会参加を支援するNPO法人沖縄青少年自立援助センターちゅらゆい(金城隆一代表理事)が今春、那覇市内に夜の居場所「ユースセンター・アシタネ」を立ち上げた。家庭内暴力などで孤独感や不安感が高まりがちな夜間に、気軽に立ち寄れ、安らげる場所。利用は無料で、午後5~10時まで開所している。(学芸部・嘉数よしの)
同法人は那覇市やうるま市で子どもや若者の居場所を運営し、生活や進学、就職などを支えてきた。利用者は日中は居場所で安心して過ごせるが、閉所になると「帰りたくない」「帰れない」と口にすることがあるという。
同法人は支援の取り組みが進んでいない「ハイリスク」な夜間に、居場所を設ける必要性を感じていた。
居場所を統括する今木ともこさんは「事件や事故は夜に起きることが多い。夜子どもたちが避難できるところがあれば、避けられた事態もあった」と説明する。
休眠預金を活用した助成金を得て、那覇市松川にユースセンター・アシタネを開所。対象は13~39歳で、週5日開いている。
オンライン上の居場所もあるほか、他団体と連携したシングルマザーらの居場所も那覇市やうるま市などで展開する。
「悩みを聞いてくれる人がほしい」「家にいたくない」といった場合はもちろん、「スマホの充電をしたい」「ゲームをしたい」といった理由での来所も歓迎している。
過ごし方は自由。大きなソファでくつろげ、1人で勉強や読書ができるブースもある。来所できない人向けにインターネット上の仮想空間で交流する「メタバース」も用意する。
イベントもあり、6月下旬にはピザを作って食べるパーティーを開催。10人余が集まり、談笑しながら料理と食事を楽しんだ。
通信制高校2年の生徒(17)は「何もしなくてもよくて、リラックスできる場所」とにっこり。同法人の子どもの居場所kukulu(ククル)出身の女性(21)=宜野湾市=は「ここに来ると誰かがいて、話を聞いてもらえる。アルバイトの緊張や不安が楽になり、よりどころになっている」と実感を込める。
今木さんは「誰でも自由に使っていい。困ったことがあれば個別に聞いて、必要であれば支援機関にもつなぐ」と話す。
アシタネの問い合わせは、電話098(851)8170。LINEでの相談も無料で受け付けている。問い合わせはこちらから。