社説

社説[増える認知症高齢者]地域の支援が孤立防ぐ

2017年7月31日 07:15

 認知症の人が地域で安心して暮らしていくには、どのような役割分担やネットワークづくりが必要か。家族の負担を軽くしていくため、地域でできることは何か。

 認知症を巡るこうした問いの切実さは、高齢化が進むほどに、増すばかりである。

 介護保険サービスを利用するのに必要な要介護(要支援)認定を受けた県内の65歳以上高齢者のうち、何らかの支援が必要な認知症の高齢者は3月末現在、3万9574人と過去最多になった(30日付本紙1面)。

 要介護認定者に占める割合は70・5%で、初めて7割を超えた。

 県の推計では、要介護認定者数も認知症有病者数も、今後、右肩上がりに増えることが予想されている。

 社会全体で取り組むのでなければ効果を上げることはできない。将来に向け、県政の重要課題に格上げし、認知症対策の「先進県」をめざしてもらいたい。

 個人のレベルでは早期発見が重要だ。根本的な治療法はまだ確立されていないが、薬や治療で症状を緩和したり進行を遅らせたりすることはできる。

 介護に追われ孤立しがちな家族を支援するため、家族会による交流や相談事業も欠かせない。つながることが力になる。

 厚生労働省は認知症高齢者の地域での生活を支えるため地域包括ケアシステムづくりを進めている。地域特性に応じた自主的で主体的なネットワークづくりが必要である。

■    ■

 学校現場や自治体議会、地域自治会などで「認知症サポーター養成講座」を開く試みも広がっている。

 認知症の人やその家族を自分のできる範囲で手助けするのが認知症サポーター。県内では今月、嘉手納町議会の議員や那覇市立石嶺中学校の生徒らが養成講座を受け、認知症に対する理解を深めた。

 今年1月から6月の上半期に県内で行方不明になった65歳以上の高齢者のうち、34人が認知症またはその疑いのある人だったという。

 県内28市町村がこれまでに、個人情報を共有する「見守り及び安全支援に関する協定」を警察署と結んだ。

 本人や家族の同意の上で認知症高齢者の顔写真などの情報を事前登録し、一人歩き(徘徊(はいかい))時の早期発見に役立てるというものだ。

 新聞社や生協など民間による見守り事業はかなり前から取り組まれているが、とりわけ重要なのは独り暮らしのお年寄りの生活実態を把握し、変化に気付いたとき適切に連絡・対応する仕組みをつくることだろう。

■    ■

 晩産化、高齢化によって今後、増えることが予想されるのが「ダブルケア」。仕事と子育てに追われながら、同時に認知症などの親の介護に直面するというケースだ。

 仕事をしながらの「ダブルケア」は、精神的にも肉体的にも介護者本人を追い詰める。個人が直面する過酷な現実に支援の手をさしのべ、社会保障の将来像を示すのは、国が取り組むべき課題である。

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大城勝史
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