米国内科学会(ACP)日本支部の年次総会がこのほど、オンラインで行われた。医大卒業後15年目までの医師による一般演題の発表で、沖縄県立宮古病院の砂川惇司医師(33)=宮古島市城辺砂川出身=が症例報告部門で最優秀の「黒川賞」を受賞した。来年4月、米国ボストンで行われるACP学会本大会に参加する。(宮古支局・當山学)
砂川医師は総合診療と家庭医療が専門で「いろいろな先生と相談して、患者をコーディネートする」役割だ。宮古病院の前の県立中部病院時代、膀胱(ぼうこう)破裂と重度の低ナトリウム血症の合併症の患者を担当。泌尿器科の医師と共に治療した経験をまとめ、英語で発表した。砂川医師は「緊張したが、在籍していた中部病院の先生のサポートもあって受賞できた」と喜びを語った。
砂川医師はラ・サール高校(鹿児島)を経て琉球大医学部を卒業。離島医療に興味があり、5年次の時に多良間診療所で実習した。「離島診療所で働きたいとの気持ちが大きくなった」と将来の方向性が定まった。
中部病院で離島医療の研修を受けた後、西表島の大原診療所で3年間、経験を積んだ。再び中部病院に戻った時、今回受賞した症例の治療に当たった。
宮古病院では新型コロナウイルス感染症に中心となって診療するなど、他の医師たちをまとめる存在だ。「宮古病院にももちろん臓器専門の先生はいるが、最近は一つの病気だけでなく、さまざまな病気を抱える患者がいる。全体を見渡せる役割が求められている」と話す。
医師になって今年で10年目。「指導される側から指導していく側になっている。後輩たちに還元していきたい」と意欲を語りながらも、「機会があれば、また離島診療所に行きたい」と夢は変わらない。
「黒川賞」は初代日本支部長の黒川清氏の業績を記念して設立され、臨床研究と症例報告の2部門がある。