夏本番を迎え、県が「バーベキューでの食中毒対策の徹底」を呼びかけている。新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが5類へ移行したことに伴い、ビーチパーティーやキャンプを楽しむ人が増える中、担当者は「手指消毒など基本的な感染防止策を取りつつ、肉を食べるときは中心部までしっかり火を通してほしい」と呼びかけている。(社会部・下里潤)

 県衛生薬務課によると、県が把握した食中毒発生件数は新型コロナウイルスの流行前までは年20~30件程度で推移していたが、2020~21年の2年間は10件程度まで減少。外食機会が減ったことや手指消毒など衛生管理を徹底したことが一因とみられる。しかし、22年は20件まで再び増加。23年も6月末までの速報値で14件が発生し、昨年同時期の2倍近くになっている。

 食肉に付着したサルモネラ菌などが体内に入ると発熱や腹痛、嘔吐(おうと)などの症状が現れ、重症化すれば脱水症状や意識障害が起こるケースもある。腸管出血性大腸菌O157は菌が出す毒素で死亡する例も多い。

 食中毒を防ぐ基本は、新型コロナと同じで手指消毒や手洗い。菌やウイルスは熱に弱いので、肉を焼くときは中心部まで火を通すことで予防できる。

 ただ、バーベキューは火加減が難しく、表面が焼けたと思っても生焼けの場合があるので注意が必要。生肉を切った包丁でサラダ用の野菜もカットしたり、トングや箸を使い回したりすることは、菌が付着している可能性があるので避けたい。菌の増殖を防ぐため、肉を焼く直前までクーラーボックスで低温保存することも大切だ。

 同課は「特に鶏肉は火が通るまで時間がかかるので気を付けてほしい。97%と高い確率で食中毒の原因となるカンピロバクター菌が検出されており、新鮮な肉だから生でも大丈夫ではない」とし、十分な加熱を呼びかけている。