「おいしいと評判で、那覇から買いに来る人も多いそうよ」。そう教えてくれた読谷村の知人から頂いたのは、きれいにパックされた豚の三枚肉の塩漬けスーチカーだった

▼店構えは、一見すると大型スーパーやコンビニエンスストアの台頭で消えつつある商店。意外な逸品の小売りで、よそでまねのできないアイデアに感服、客の多さに納得した

▼弊社社屋が那覇市のど真ん中に移転してから、コンビニに寄る回数がめっきり増えた。とりあえず欲しい物はほぼ買える便利さを享受しながら、それでいて、どこに行っても金太郎あめのような商品構成には飽きてしまう

▼そんな消費者の一種の飢餓感を埋めるように、地域に長年愛されてきた商店があり、「定番の品」をつくり上げてきた。そこでしか味わえない手作りの総菜だったり、聞き上手な店主がゆんたく(おしゃべり)の場を提供してくれたり

▼宜野湾市には、1日2回仕入れる島豆腐が人気の商店があると、本紙日曜付の連載「わがまちの老舗」で知った。島豆腐の味ほどなじんだ舌が忘れず、スーパーで代わりが見つからない代物はないのかもしれない。親しんだ味を売る店が閉まって実感する

▼集落で培われた味を守ったり、地域から優れた商品を発信したりする商店の存在はうれしい。消費を越えた贈り物だと思うから。(与那嶺一枝)